最後も笑顔の“石井劇場”「ロッテファンの前で良かった」

[ 2013年10月8日 22:14 ]

<西・ロ>試合後の引退セレモニーを終え、ナインのつくった花道を引き揚げる石井(中央)

パ・リーグ 西武10―2ロッテ

(10月8日 西武D)
 今季限りでの現役引退を表明している西武・石井の引退セレモニーが、今季最終戦となった8日のロッテ戦後、西武ドームで行われた。

 大観衆が見つめる中、グラウンドに立った石井は「ちゃんとしゃべれるかわからないですけど、聞いてください」と、まず最初の笑いをとってから、あいさつし始めた。

 「本日、最終戦でこんな大一番の時に、セレモニーを開いて頂き、球団の方々、ありがとうございました。そして僕、千葉県出身なんで、ロッテファンの前でセレモニーができて良かったです」。これにはロッテファンも笑顔で大きな拍手を送った。

 “石井劇場”はまだ続く。「6年前、西武に誘って頂いた時、正直、迷いました。ヤクルトで1年やって、無難に終わってもいいかなと…。しかし、西武に行けば、新しい出会い、人生の引き出しが増えると思った時には、決断に時間はいりませんでした。そしてその決断に文句も言わず、家族も一緒になって応援してくれた。毎朝、6年間、お弁当をつくってくれて、野球人生、のんびり、のほほんとできたのも妻のおかげだと思ってます。そして息子・幹大(かんた)には、東京、ロサンゼルス、ニューヨーク、東京といろんな苦労をかけましたけど、父親として背中は見せてきたつもりです。これからは幹大の頑張っている背中を見るのが、お父さんとしての楽しみです」。笑顔で話し続けた石井は、支えてくれた家族に、感謝の言葉を並べた。

 感謝の思いはチームにもかけられた。「西武球団の方、コーチ、スタッフの方、こんなわがままボーイを面倒みて頂きありがとうございました。そして渡辺監督、こんなヘボピッチャーを6年間、信用して頂きありがとうございました。そして6年前、温かく迎えてくれたチームメート。皆といると勝っても負けても…ちょっと語弊があるかもしれないですけど、笑顔でいれました。そしてみんなといると、勝っても負けても、次の日から、次の試合、頑張ろうって気持ちになれました」。

 そして、最後にはファンへ。「最後になりますが、ファンの皆様の頑張れコール、マウンドで聞いてましたけど、ピンチになった時に、僕みたいなヘボピッチャーが、普通のピッチャーとして、レベルアップしてバッターと対戦できたのを覚えています。ちょっと長くなっちゃったけど、もう一つ最後に。西武は本当にこれからもっともっと強くなっていくと思います。そしてチームメートも温かくて、思いやりがあって、向上心豊かな選手ばかりです。皆さんの夢を、これからも西武に託しても間違いありません。本日はありがとうございました」。

 セレモニー後、電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」に乗り“らしく”場内一周した石井。ナインとあらためて別れの握手をかわし、胴上げされても、やはり最後まで涙をみせることなく、笑顔でグラウンドを去った。

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