小久保氏が侍ジャパン新監督就任へ 監督未経験41歳抜てきのワケ

[ 2013年10月3日 06:00 ]

侍ジャパンの新監督に内定した小久保氏

 侍ジャパンの新監督に小久保裕紀氏(41)が就任することが2日、明らかになった。小久保氏はソフトバンク、巨人で通算18年プレーし、昨季限りで現役を引退。監督経験はないが、両球団で主将を務めるなどリーダーシップは高い評価を得ている。2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での世界一奪還へ向け、常設した新生侍ジャパンの船出。近日中にも日本野球機構(NPB)から正式発表される。

 侍の未来はこの男に託された。監督未経験の41歳という大胆な起用。NPB関係者は小久保氏の監督就任について「侍ジャパンの新たなスタートを踏みだすにあたって、最もふさわしい方と考え、強く就任をお願いし、快諾をもらった」と明かした。

 ダイエー(現ソフトバンク)では、当時の王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)に長打力を買われ、入団2年目で4番を任された。昨年は2000安打も達成するなど実績は申し分ない。また04年に巨人へトレード入団すると、06年には球団の生え抜き以外で初の主将に抜てき。07年にFAでソフトバンク復帰後も主将として若い選手をまとめるなど、リーダーシップには定評がある。

 12球団の合同事業として常設された侍ジャパンは、強化試合などのチーム招集に選手会の協力が欠かせない。そのため日本プロ野球選手会との連携が不可欠だが、小久保氏は05年から09年まで社団法人日本プロ野球選手会の第10代理事長を務めており、その点でも問題ない。

 またNPBは今年5月にアマチュア野球を統括する全日本野球協会(BFJ)と「野球日本代表マーケティング委員会」を設立。侍ジャパンを頂点に小学生までの各世代の「世界最強」を目指しサポートを始めた。小久保氏はアマ球界の協力も仰ぎながら、そのトップチームを率いることになる。

 昨年、侍ジャパンの監督選考作業は、労組・日本プロ野球選手会のWBC出場ボイコット問題と重なり、難航を極めた。加藤良三コミッショナーに一任することになり、当初は第2回WBC監督である巨人・原監督を候補に挙げたが断念。その後、コミッショナー特別顧問である王貞治氏に協力を要請し、選手会がWBC出場を表明した9月には、前年度に日本一となったソフトバンク・秋山監督に候補を一本化したが、本人が固辞し実現しなかった。最終的に山本浩二氏の就任が決定したのは、それから1カ月後の10月10日までもつれ込んだ。

 今年11月には侍ジャパンの初陣となる台湾遠征が予定されており、そこが小久保氏の初采配となることが濃厚。2015年には12カ国・地域で争う国際大会「プレミア12」の日本開催も予定されている。4年後のWBCへ向け、まずはその大会が試金石となる。小久保氏の契約も2年となる見込み。WBC日本代表の初代監督である王氏の下で培った帝王学で「新生・侍」をけん引する。

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