石井 経験から生まれた動じない“脱力感” 引退後は「会社員になりたい」

[ 2013年9月24日 08:23 ]

02年7月、ドジャース時代にボンズと初対決する石井
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 西武・石井はいい意味で野球選手っぽくない。残してきた成績を見れば、日本球界を代表する左腕だ。しかし、普段の姿からはそんなオーラは見えない。

 基本的に私服はジャージー。周囲が心配するほど欲がない。性格は穏やかでマイペース。石井を知る関係者は「怒ったところは見たことがない」と言う。映画やドラマの感動的なシーンを見ても涙を流すこともない。

 ドジャース時代、全盛期のバリー・ボンズを通算15打数3安打と抑え込んだ。初対決で2打数2三振に斬った試合後「興奮しないのか」と聞くと「最近、喜怒哀楽の感情が出なくなってきたんですよ。若い時からいろいろ経験しすぎたからかも。この先心配です」と真顔で言った。10年以上前のことだ。高卒1年目で日本シリーズに先発。96年オフには左肩手術を受け、米国で孤独なリハビリも経験した。だから少々なことでは動じない。

 この「脱力感」が石井の魅力。移籍した西武でも一回り以上も年下の選手に慕われ、面倒見もいい。アルコールは一切飲まず、食事の際は必ずウーロン茶とコーラをセットで注文する。いたずら好きでゲーム好き。ゲーム機は「故障した時のために」とスペアと、そのスペアまで購入する。

 昨年1月の自主トレでは「引退したら会社員になりたい」と言った。20年以上、勝負の世界、それもトップの世界で生きてきたから「会社員」に憧れる。石井なら本当になりかねない。

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2013年9月24日のニュース