上原 志願の胴上げ投手「自分でもここまでできるとは」

[ 2013年9月22日 06:00 ]

<レッドソックス・ブルージェイズ>9回2死、二塁、最後の打者ブレット・ローリーを空振り三振に仕留めて優勝を決め、佐々木主浩氏以来の胴上げ投手となった上原は捕手・ジャロッド・サルタラマッキアに飛びついて喜びを爆発させる

ア・リーグ レッドソックス6―3ブルージェイズ

(9月20日 ボストン)
 レッドソックスの上原浩治投手(38)が20日(日本時間21日)、ブルージェイズ戦で5―3の8回1死一塁から登板。1回2/3を2安打無失点で20セーブ目を挙げ、チームが世界一に輝いた07年以来、6年ぶりの地区優勝に導いた。首脳陣に優勝が決まる日の登板を志願していたこともあり、01年の佐々木主浩(マリナーズ)以来、日本人では2人目の胴上げ投手となった。

 総立ちのファンによる「レッツゴー・レッドソックス」の大合唱が、フェンウェイ・パークに響き渡る。大観衆の視線を一身に集めた上原は、最後の打者・ローリーを宝刀スプリットで空振り三振。捕手サルタラマッキアに抱き上げられた守護神は、力強く右拳を突き上げた。

 「初めての経験なので、不思議な感じだった。うれしい以外、何もない。チームが去年あまり良くなかったので、自分が入って良くなったと言われた方がうれしい」

 心待ちにしていた瞬間だった。首脳陣にはデイナ・ラバンジー・ブルペンコーチを通じて「何点差でもいいから」と優勝が決まる試合での登板を志願していた。2安打は許したが、危なげない投球で自身初の胴上げ投手に輝いた。

 海を渡った09年以降、古傷の左太腿裏痛、右肘痛など故障が続いた。昨季も右広背筋痛で離脱を経験したこともあり、体調管理を徹底した。ナイターでは、試合開始7時間前に球場入り。ストレッチやトレーニングなど事前の準備に時間を費やした。ホテル住まいのボストンだけでなく、自宅のあるボルティモアでもそのルーティンは変えなかった。この日観戦した美穂夫人は「ほとんど家にいない。そんな感じですから」と日頃の節制ぶりを明かした。

 「自分でもここまでできるとは思わなかった」。今季は自己最多70試合、71回1/3を投げて防御率1・14。前年最下位に沈んだチームを見事によみがえらせた。開幕はセットアッパーで迎えたが、6月21日からは抑えに転向。大リーグで救援投手の安定感を示す指標のK/BB(1四球あたりの三振数)10・89は両リーグ1位と抜群の数字を残した。

 225本用意されたシャンパンをかけ合い、11年のレンジャーズ時代以来、2度目の優勝を実感した。だが「まだ達成感を持ってはだめ。これからも気持ちを切らさずにやっていく」という。目標は世界一。コージコールに応えて、ベンチの上からファンにシャンパンを浴びせた右腕は、この夜だけはつかの間の美酒に酔いしれた。

続きを表示

この記事のフォト

2013年9月22日のニュース