巨人首脳陣 阿部にも苦言 ミーティングで緊張感

[ 2013年9月22日 21:46 ]

 慌ただしく選手が一室に集められる。緊急ミーティングでもう一度、基本プレーを徹底するように首脳陣が何人かの選手を名指しして訴えた。そんな中、阿部にも全力疾走を怠ったとナインの前で苦言が呈された。今季ワーストの5連敗を喫し、首位を陥落した6月2日の西武戦後だった。

 阿部は「やるべきことをやり切れていないので」と言い訳せず、責任を背負った。ある選手は「阿部さんが怒られることはなかなかない。普段とは違った」と緊張感が漂う場面を振り返った。大黒柱の阿部をしかれば全体が引き締まる。阿部もしっ責を受け入れる素直さを持つ。

 昨季、阿部の落球から同点とされ、引き分けた試合があった。後日、自らを戒めるために失策時の写真を大きく引き伸ばし、東京ドームのクラブハウスに張った。その写真は今季もそのまま残り、さらにミスをした他の選手も写真を張り、スペースは拡大。チーム内では慢心を防ぐ「神棚」と呼ばれた。

 戦力が充実しても機能しなければ意味がない。「緊張感を持って試合に臨ませることが大事」と原監督は言う。5月26日のオリックス戦で、攻守に精彩を欠いた移籍2年目の村田を一回で交代させた。「発奮してほしい。プロは言う前に反省する」と指揮官は村田に直接言葉は掛けなかった。

 無言の重圧に村田も危機感を抱いた。構えた時のグリップの高さなどを細かく修正。巨人移籍前の横浜(現DeNA)時代には、シーズン中にここまで何度も打撃フォームを変えることはなかった。「このチームでは安定感が求められる」。考え悩んだ結果が7、8月の2カ月連続の月間最優秀選手につながった。

 2軍から上がった選手はすぐに使う。長野、坂本も不振なら打順を変えた。常に緊迫感を持たせ、必要以上に追い込むことはなかった。「緊張感があれば、むちを入れずに走ることも悪くない」。原監督が思い描いた通りの快走だった。

続きを表示

2013年9月22日のニュース