バレ 58号3冠王見えた!メジャーが強奪?ジャイアンツ今オフ獲得の動き

[ 2013年9月19日 06:00 ]

<D・ヤ>快勝にファンの声援に応えるバレンティン

セ・リーグ ヤクルト5-4DeNA

(9月18日 横浜)
 メジャーが強奪?ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が18日、DeNA戦で自身の持つプロ野球シーズン最多本塁打記録を更新する58号ソロを放った。7回には決勝適時打で今季122打点とし、トップのDeNA・トニ・ブランコ内野手(32)に3差と迫った。目下、打率と本塁打はトップで、セ・リーグでは27年ぶりの3冠王も現実味を帯びてきた。この活躍にジャイアンツが獲得への動きを見せるなど、米国での注目度も増す一方だ。

 読んでいた。初球のストレート。それも甘いコースに来る、と。迷いのあった前の打席とは明らかに違う。確信したようにコンパクトなスイングで捉え、左中間へ伸びる打球を見てからバレンティンは走り出した。

 「打ち損じないように打てる球を狙って、しっかりと捉えられた。集中力を持って臨んで、結果が出てよかったよ」

 事もなげに振り返ったが、学習能力を生かしたのは5回だ。1点差で2死無走者。狙いは対戦の少ないDeNAのルーキー三嶋の直球。読み通りに初球の146キロが、捕手・黒羽根が内角に構えたミットとは逆の外寄りに来た。打った瞬間、それと分かる打球が左中間席へ吸い込まれた。

 「前の打席の反省点を修正して対応することができたよ」。前の打席とは空振り三振した3回の2死二塁だ。逆球の内角直球にバットが空を切った。読みを外されながらも、直球が逆球になるのを確認。次は、コースを狙った球が甘くなると読み切って狙ったのが5回だった。卓越した読みと修正能力。それこそが自らのプロ野球記録をあっさりと更新する58号の源であり、メジャーがあらためて注目するゆえんだ。

 同点の7回には、1死一、二塁から今度はヒット狙いで左前打。チームに4連勝を呼ぶ2打点目はもう一つの夢も膨らませた。2試合欠場中のDeNA・ブランコに3打点差と迫る122打点。4打数3安打で打率・338と58本塁打は文句なしのトップで、3冠王への視界が開けた。「そのことは考えずに調子を維持していきたい。まだ試合はある。集中力を切らさずにやろうと思う」

 その集中力の維持に欠かせないのが母アストリットさん(64)の存在だ。休養日となった16日、台風が通り過ぎるのを待って渋谷へショッピングに出かけた。愛する母へ贈ったのは純金にダイヤをあしらったネックレス、指輪、アンクレットの豪華な3点セット。夜には新記録を祝い、六本木ヒルズの日本料理店「マザーズ食堂」で焼きふぐに舌鼓を打った。プレゼント全てを身にまとって観戦に訪れた母は「日本で食べた料理で一番好きなのは焼きふぐよ」と最高の笑顔を見せた。

 どこまでも本塁打記録を伸ばし、もう一つの夢へ――。小川監督は「最下位では申し訳ない」とも言った。最下位チームからの3冠王となると史上初。チームは5位・DeNAへ3ゲーム差まで迫り、母の笑顔でバレンティンは加速する。

 ≪3冠王なら9年ぶり8人目≫バレンティン(ヤ)が58号。自己の持つプロ野球記録を更新した。これで2位のブランコ(D=37本)とは21本の大差。2位と最大差の本塁打王は11年中村(西)の23本差となっており、今後どこまで広げるか。現在打率、本塁打でリーグ1位だが、3冠王を獲得すれば、04年松中(ダ)以来9年ぶり8人目(12度目)、チームでは初の快挙になる。9月に入って13試合で12打点のバレンティンに対し、ブランコは11試合で5打点と失速気味。残り試合はヤクルトが3試合多く、バレンティンの3冠王獲得に有利な条件がそろう。
 

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