阿部 M3弾!19日にも連覇 ドームだけど「風だよ」 

[ 2013年9月18日 06:00 ]

<中・巨>5回、阿部は右越え32号2ラン

セ・リーグ 巨人4-2中日

(9月17日 ナゴヤD)
 ついに頂が見えた。巨人は17日の中日戦で主将の阿部慎之助捕手(34)が右越えに32号2ランを放つなど、4―2で快勝。連敗を3でストップした。阪神が広島にサヨナラ負けしたため、巨人の優勝マジックは2つ減って3に。2位に12・5ゲーム差をつけ独走状態の巨人は早ければ19日にも2年連続35度目のリーグ優勝が決まる。

 風を呼ぶ一撃だった。ど真ん中、138キロの直球を阿部は逃すことなく捉えた。力むことなく、必要最低限の力で体を回転させると打球は右翼席へ一直線。「風だよ」と無風のナゴヤドームでの32号2ランにおどけてみせた。だが主将の一発は、足踏みしていたチームにラストスパートの風をもたらした。

 「うまく(体が)回れました。しっかり捉えたので入ったと思った」

 マジックを7として広島に乗り込んだ広島3連戦。よもやの3連敗でマジックは2つしか減らず、名古屋での中日戦を迎えた。停滞するチームに活を入れたのが、主将の一発。連敗を止めた上に、阪神も敗れマジック3。19日にも胴上げと一気にカウントダウンを最終章に持ち込んだ。

 開幕4番でスタートした昨年。主将、捕手、4番の一人3役の重責を担いながら首位打者、打点の2冠を獲得し、文句なしのMVPに選出された。日本一連覇を目指してスタートした今季は、さらに侍ジャパンの主将として3月のWBCで真剣勝負に臨んだ。「命まで取られるわけではない」。だが重圧の中での戦いに体は悲鳴を上げていた。5月から左脇腹の慢性的な痛みに悩まされ、同12日のDeNA戦(新潟)では右足首も負傷。6月7日の全体練習の際には原監督から強制休養も命じられた。それでも「連覇を狙えるチームは僕らのチーム以外にないわけだし、最後までしっかり戦って絶対に優勝したい」と背中でチームを引っ張り続けた。ゴール前の胸突き八丁で、最後の加速を促す。これぞ主将の仕事だった。

 首脳陣からの信頼も絶大だ。開幕7連勝と好スタートを切った今季。その7連勝中の4月4日のDeNA戦(横浜)の5回に、村田の左前打で三塁ベースコーチの制止を振り切り本塁に突入し、憤死した。このプレーで罰金を科され、厳重注意を受けた。主将が怒られればチームは当然、引き締まる。承知の上で黙って怒られ役も受け入れた。原監督は「内海がしっかりとゲームをつくって、坂本、阿部で効果的に得点が入った」と主力の働きを満足そうに振り返り「凪(なぎ)の状態で戦っていく。高揚することなく、日頃のかたちで戦いたい」と平常心を強調した。

 帰りのバスへの乗り際、阿部は最後にこう言った。「勇人も打ったし、良かったね」。リーグ制覇の後に続く日本一への戦いは、全員の力が必要になる。重責を担う男だからこそ発することができる、チームを俯瞰(ふかん)した言葉だった。

 ≪19日にもV決定≫巨人のマジックは3となり、早ければ19日にも優勝が決まる。巨人が18、19日と連勝なら、阪神の1敗以上もしくは2分け、巨人が1勝1分けの場合は、阪神の1敗1分けか2敗が条件。また、巨人が1勝1敗、2分けでも阪神が2連敗すれば胴上げとなる。なお、18日に巨人が△で阪神○、巨人が●で阪神が△か○の場合、最短Vは20日以降にずれ込む。

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