楽天ブルペン一体感 長谷部―斎藤“絆”リレー

[ 2013年9月8日 06:00 ]

<楽・日>日本ハムに勝利し、抱き合って喜ぶ嶋(左)と斎藤

パ・リーグ 楽天7-5日本ハム

(9月7日 Kスタ宮城)
 ブルペン陣の絆は固い。試合後。相手に傾きかけた流れを断ち切った左腕・長谷部と、最後を締めたベテラン・斎藤は、クラブハウスから一緒に雨の駐車場に出てきた。笑顔。その表情が、救援陣の充実ぶりを何より物語っていた。

 「追い上げられて嫌な雰囲気はあったが、そういうときこそアグレッシブに攻めていく投球を、と思った」。9回。いきなり先頭・小谷野に3ボールとした斎藤だが、落ち着いて三ゴロに。直球の最速は148キロ。3者凡退に抑えて4セーブ目を挙げた。地元・仙台。熱狂的な歓声を浴びて「最高にうれしい」と声を弾ませた。

 今季17セーブの守護神・ラズナーが8月下旬に右肘痛で離脱。優勝争いが佳境に入る中、43歳の最年長右腕がブルペン陣の中心にいる。「みんな、準備だけは怠るなよ!」。これが斎藤の教えだ。大切なのは、心。「いつ何時、何があるか分からない。気持ちの準備さえできていれば、肩なんて1分でできるから」。7年間のメジャー生活を含め豊富な経験があるからこそ言葉にも重みがある。そんな教えを長谷部もきっちりと実践した。

 「ブルペンには“みんなで”って雰囲気がある。去年のことを考えたら、優勝争いの中で投げられるなんて…。楽しいというか、うれしい」。左腕は7回1死、楽勝ムードから一転、2点差に迫られた場面でマウンドへ。後続を抑えると8回も続投。2死二塁では4番・アブレイユを、チェンジアップで空振り三振に仕留め、バトンを斎藤に渡した。

 斎藤は右ふくらはぎなどに不安を抱え、長谷部は昨年5月の左膝手術のため、そろって開幕2軍スタート。初秋、その2人のリレーで試合を締めた。長谷部は8月22日に母・泰子さんを53歳で亡くし、通夜翌日の24日のロッテ戦(Kスタ宮城)に登板。ベンチに戻ると号泣したが、そんな左腕をそっと抱きしめてくれたのが斎藤だった。

 「鬼門」とさえ言われたエース・田中の登板した次戦に白星。球団創設9年目で貯金を最多の21に伸ばし、優勝マジックも19とした。「目の前のやるべきことをやれば…」と斎藤。その言葉の先には、歓喜の瞬間が待っている。

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2013年9月8日のニュース