マー君 どこまで続く開幕20連勝「本当に欲しいものは優勝です!」

[ 2013年9月7日 06:00 ]

<楽・日>9回2死三塁、佐藤(後方)を三振に斬り、吠える田中

パ・リーグ 楽天3-2日本ハム

(9月6日 Kスタ宮城)
 世紀の大記録だ!楽天の田中将大投手(24)が6日の日本ハム戦で今季7度目の完投勝利。世界新記録の開幕20連勝を飾り、「鉄腕」と呼ばれた西鉄・稲尾和久が57年にマークした同一シーズン20連勝のプロ野球記録にも並んだ。黄金ルーキー・大谷翔平投手(19)との初対決で貫禄勝ちし、チームは優勝マジックが2つ減って20。08年の楽天・岩隈久志(マリナーズ)以来の20勝投手誕生となった田中が、無敗のまま仙台に歓喜をもたらす。

 右腕をちぎれんばかりに振った。1点リードの9回2死三塁。田中が佐藤に投じた128球目のスプリットが外角に決まる。見逃し三振。歴史的瞬間を見届けるために満員となったKスタ宮城は大歓声に包まれた。ド派手なガッツポーズを披露し、雄叫びを上げた。

 1912年にルーブ・マーカード(ジャイアンツ)がマークした大リーグ記録を上回る開幕20連勝。球史に残る記録にも「記録は破られるためにある。でも世界一と言われてもピンとこない。自分が生まれる前ですしね」とおどけた。

 田中には流れを読む力がある。2回にアブレイユにソロを浴びるなど4回までに2失点。3回は中島、4回は佐藤に盗塁を許し、足でも揺さぶられていた。「やりたいようにやられ、それも面白くないと思った」。5回1死一塁。走者の西川を3球連続のけん制で刺した。1、2球目はセットポジションに入ってからけん制まで約4秒だったが、3球目は6秒。2秒の差が走者の帰塁のタイミングを狂わせた。

 味方が勝ち越した6回以降は投球のテンポを急速に上げた。5回まではゆっくり打席に入ってきた相手の打者に合わせてしまい球数も77球を要した。それが「ちぎっては投げる」投球に変えた6~8回の球数は10、10、9。その3イニングの4三振は全て4球以下だった。自身37度目の2桁となる11三振を奪っての完投勝利。前日に「ポテンシャルの高さを感じる」と話していた大谷との投げ合いにも圧勝した。

 元同僚の岩隈が08年に21勝して以来、5年ぶりのシーズン20勝。田中はプロ2年目だった08年を振り返り「岩隈さんは“投げれば勝つだろう”という安心感がありました」と話す。近くでその姿を見ていた当時20歳の右腕は、今や次々と記録を樹立する「生ける伝説」となった。同一シーズンの連勝は稲尾に並び、2シーズンにまたがる連勝は1936~37年にカール・ハッベル(ジャイアンツ)が持つ大リーグ記録の24に並んだ。

 今季の快進撃の要因のひとつに精神面の成長を挙げる。まだ24歳だが「気持ちの浮き沈みや一喜一憂がなくなった。年を取ったんでしょうね」と笑う。腰痛などコンディション不良で10勝に終わった昨年は「打者と対戦する以前に自分と闘ってしまっていた」という。マウンドでイライラを募らせ、ピンチで力む姿は、今はもうない。

 お立ち台で田中は「本当に欲しいものは優勝です!」と声を張り上げた。個人記録に興味はない。チームのために身を削る田中は、真のエースだ。

 ≪全ての連勝記録保持者に≫田中(楽)が開幕から20連勝、昨季からの連続シーズン連勝は24に伸びた。シーズン20連勝は57年稲尾(西)に並ぶプロ野球タイ。これで田中は開幕、シーズン、連続シーズン全ての連勝記録保持者になった。今季 田中の登板数は23試合。20勝到達時の登板数としては1リーグ時代の37年春に沢村(巨)が24試合目でマークしたのを76年ぶりに抜く最速記録だ。またシーズン20勝は08年岩隈が21勝して以来5年ぶり球団史上2人目の大台。次回登板で球団タイ記録に挑戦する。
 なお今季田中の貯金は20。1人で貯金が20以上は68年皆川(南海=31勝10敗)を最後にいないが田中はどうか。

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