「4番・遊撃」は真弓以来…和田監督 鳥谷は「もっとできる」

[ 2013年8月31日 06:00 ]

<神・広>5回の攻撃前に円陣を組むナインのもとへ向かう和田監督(左)と腕組みする鳥谷

セ・リーグ 阪神0-3広島

(8月30日 甲子園)
 阪神が30日の広島戦で、「4番・鳥谷」「三塁・西岡」という2つの新機軸を実行した。長期ロード最後の巨人3連戦に3連敗し、優勝の芽が限りなく小さくなる中での和田監督の決断だった。1日以来となった本拠地・甲子園での試合は0―3で完敗し、4連敗。守備のミスが相次ぐ凡戦で、首位とのゲーム差は9に開いた。

 まだまだ、こんなものじゃない―。鳥谷の眠れる潜在能力を引き出すべく、和田監督が動いた。今季113試合目で、初めて鳥谷を「4番」に起用。新井良に次ぐ第91代の4番に指名した試合後、指揮官はその意図を端的に語った。

 「流れもあるけれど、鳥谷の能力からすればもっとできるんじゃないか、と。(3番では)つなぎに徹するところがある。ここ(4番)は還すところ。(その役割も)できる選手だからね」

 サプライズ起用には、確固たる信念があった。後半戦に入って上り調子とはいえ、前日29日を終え打率・272、6本塁打の45打点。チームの中軸を担う3番打者の数字として、指揮官には少し物足りなく映っていた。加えて、3連勝と意気込んで臨んだ東京ドームでは、まさか、まさかの3連敗。沈みがちだった打線に刺激を与える意味合いもあっただろう。

 「もちろん、今日だけで変えるということはない」

 当面の継続起用を和田監督は示唆したが、ペナントレース中はもちろん、来るべきクライマックスシリーズ(CS)をにらんだ用兵でもある。鳥谷自身10年に104打点を挙げたこともあり、無類の勝負強さも持ち味の一つ。実際、就任時から、和田監督の中でも「鳥谷4番構想」はあった。過去には球界屈指の巧打者だった中日・立浪が02、03年シーズンで4番を任されたこともあり、うまく機能すれば他球団にも脅威の存在となり得る。

 3打数無安打に終わった試合後、多くを語ることなく鳥谷はクラブハウスへと引き揚げた。「(4番の感想は)いえ、別に。急に大きいのを打てるわけじゃないので。(野村は)コースに変化球が決まっていた。また頑張ります」。8回で降板した野村の前にチームは3安打。見せ場のない4連敗に胸中は悔しさだけが渦巻いた。このままで終われないのは、チームも同じ。新オーダーが意地を見せたい。

 ≪「4番・遊撃」は真弓以来≫鳥谷(神)がプロ10年目で初めて、先発4番で出場。新4番は昨年8月9日巨人戦(東京ドーム)の新井良以来になる。「4番・遊撃」は80年9月8日広島戦(広島)で真弓明信が務めて以来33年ぶり。

続きを表示

2013年8月31日のニュース