「イチメーター」エイミーさん “執念”歴史的瞬間立ち会った

[ 2013年8月23日 06:00 ]

<ヤンキース・ブルージェイズ>4000本目の安打を達成したイチローへ4000をカウントした“ICHI-METER”を掲げるエイミー・フランツさん

ア・リーグ ヤンキース4―2ブルージェイズ

(8月21日 ニューヨーク)
 全米No・1のイチローマニアも歴史的瞬間を見届けた。マリナーズ時代、セーフコ・フィールドの右翼席最前列から「イチメーター」で安打数を数えてきたエイミー・フランツさんは「最高にうれしい。スタンドで周りのみんなが、私まで祝福してくれた。信じられない」と興奮。

 「オメデトウ!」と日本語で絶叫しながら「4000」のボードを掲げると、達成直後の2回には、右翼の守備に就いたイチローが手を振って応えた。

 シアトル在住のエイミーさんは、ペットショップのマネジャー。快挙の瞬間に立ち会うために14日からヤンキース戦を観戦し、滞在できるのはこの3連戦までだった。その期待にギリギリで応えたイチローも「それはそれでプレッシャーですけどね」と笑い、「ああいう思いはうれしいですよね。あの存在感って凄い。ニューヨークのファンと一体化していましたからね」と感謝を述べた。

 「イチメーター」の誕生は04年。262本の大リーグ年間安打記録を樹立した4年目だ。そのアイデアが、2人の距離を徐々に縮めていった。昨年7月23日、イチローがヤンキースへ電撃移籍。その日、初めて2人は言葉を交わした。「守備練習の際に、真っすぐに私のところに来て“ありがとう”と。彼がボールを投げてくれた」。同年11月には、イチローから手紙と一緒にサイン入りバットとスパイクを贈られた。今年6月、ヤ軍のシアトル遠征の際に再会。初めてゆっくり話し、翌日、エイミーさんは感謝の手紙と自身が愛用しているオーダーメードの帽子をプレゼントした。

 「正直、彼がマ軍の一員として4000安打を達成してくれればよかったと思う気持ちはある。でも彼のキャリアを考えると、これでよかった。ヤ軍入りは彼が選んだこと。ワールドシリーズのリングを勝ち取ってほしい。今はそう思って心から応援しています」

 右翼フェンス越しに始まった心の交流。2人にとって「エリア51」は、永遠に存在し続ける。

 ≪昨秋、イチローがエイミーさんに送った手紙≫

 エイミーへ。

 シアトル時代、いつも温かく見守ってくれてありがとう。あなたのユニークかつ誠実な応援は、いつも刺激になっていました。自分のスパイクの色はもう違う色に変わってしまったけれど、マリナーズ時代の一足をもっていてもらえると、うれしいです。

 よろしく。イチロー。

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2013年8月23日のニュース