松坂がイ軍退団 今月中のメジャー昇格こだわり自由契約申し入れ

[ 2013年8月21日 06:00 ]

今季インディアンス傘下の3Aコロンバスで投げていた松坂だったが退団することに

 インディアンスは20日(日本時間21日未明)、傘下3Aコロンバスの松坂大輔投手(32)との契約を解除したと発表した。松坂が退団を申し入れ球団が了承した。自由契約となった松坂は全球団と交渉できる。メジャー7年目で初めてマイナースタートとなった松坂は今季3Aで19試合に先発し5勝8敗、防御率3・92。イ軍でのメジャー昇格を目指したが、ポストシーズン出場への登録期限となる8月31日(同9月1日)を前に、より昇格の可能性がある他球団移籍の道を選択した。

 松坂が目標をつかむため勝負に出た。イ軍関係者は「松坂自らがFAを希望し、その意向を球団がくんだ」と説明した。

 この時期に退団に踏み切ったのは「8月中のメジャー昇格」にこだわったからだ。8月31日までにメジャーベンチ登録枠の25人に入っていれば、ポストシーズン出場資格を得られる。イ軍に残っても、ベンチ登録枠が25人から40人に広がる9月にメジャー昇格する可能性はあるが「追加戦力」との位置づけで、その起用は点差が開いた場面や、敗戦処理などに限定されることが予想される。あくまで先発投手として、勝負できる可能性を考えての決断だ。

 松坂は今年、招待選手としてイ軍のキャンプに参加。3月26日までにメジャー昇格できない場合は、FAになる権利が与えられていた。しかし、先発陣の層が薄いイ軍で競争するのがメジャーへの近道と判断。権利は行使せず「上にいく時間がずれたと思ってやるだけ。じっくりやるための時間をもらった」と、その決意を語っていた。

 しかし、ここまでメジャー登板はなし。3Aで19試合に先発し5勝8敗、防御率3・92。4月末に左脇腹痛で離脱したが、後半戦は9試合先発で60回2/3を投げて、防御率3・12、51奪三振と安定感が戻った。しかし、8月5日に先発右腕クルーバーが右手中指を捻挫した時も、23歳の100マイル(約161キロ)右腕サラザーを抜てき。若手を優先起用する球団方針は明らかで、さらにメジャー昇格の前提となる40人枠も現在39人と1枠を残しておきながら、松坂に充てることはなかった。イ軍でのメジャーでの登板機会がないと考えるのは自然の流れだった。

 「今は来年以降につながる投球を心掛けています」と話してきた松坂は、既に代理人を通じ水面下で交渉開始。先発投手として評価してくれるメジャー球団を熱望しているが、オファーが届かない可能性ももちろんある。

 昨年、レッドソックスと6年契約が切れ、FAとなった時も、日本球界からDeNAやソフトバンクが興味を示した。しかし、松坂本人はメジャーとの契約にこだわった。現時点ではメジャーで1試合でも多く投げる可能性を信じている。

 各球団ともシーズンが佳境を迎え、補強リストを精査している段階だ。メジャー50勝を挙げた松坂の経験を買って、獲得に動く球団はあるのか。残された時間は少ない。

 ▽大リーグの登録枠(ロースター) メジャー契約を結ぶことができるのは各球団40人。ただし、試合でベンチ入りできる登録枠は25人(故障者リスト入りしている選手を除く)。9月1日以降はベンチ入り枠が25人から40人に拡大されるが、ポストシーズンの出場資格は、8月31日の時点で25人枠に入っていることが条件(故障者が出た場合などの特例を除く)。08年には9月1日にパドレスを自由契約となった井口(現ロッテ)が同5日にフィリーズと契約したが、ポストシーズンには出場できなかった。

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