32回自責0の前橋育英・高橋光 防御率0・00優勝狙う

[ 2013年8月21日 06:00 ]

晴天の下、ストレッチしながら汗をぬぐう高橋光

第95回全国高校野球選手権準決勝 前橋育英―日大山形

(8月21日 甲子園)
 第95回全国高校野球選手権大会は、21日に準決勝2試合が行われる。20日は日程の公平性や選手の健康面を配慮し、史上初めて休養日が導入された。ここまで4試合で32回を投げ自責点0の前橋育英(群馬)の高橋光成(こうな)投手(2年)は日大山形戦へ向けノースロー調整。「伝説の投手」と言われた嶋清一らに並ぶ防御率0・00での優勝を宣言した。また、4年ぶりの準決勝に臨む花巻東(岩手)は、延岡学園(宮崎)と対戦する。

 夏の甲子園で初めて設けられた準決勝前の休養日。2年生エースの高橋光はボールを握らなかった。午前中に豊中ローズ球場で行われた練習では、球場の外周を約30分間、黙々と歩き続けた。

 「完封しているイメージをしながら歩いた。優勝まであと2つ。(あと)18イニングということで(優勝を)意識する。0点で抑えて完封する」

 準決勝進出4チームで唯一、1回戦からの登場。1メートル88の右腕はここまで4試合で3試合に完投し、32回を投げていまだ自責点0(失点1)だ。初出場での頂点まであと2勝となったが、それも完封で決めると宣言した。防御率0・00のまま優勝すれば、夏の甲子園では39年に史上初の5試合連続完封を達成した海草中(和歌山)の嶋清一、48年に小倉(福岡)のエースとして同じく5試合連続完封した福嶋一雄に肩を並べる偉業となる。

 猛暑の中での熱投で疲労は蓄積している。加えて、前日の常総学院(茨城)との準々決勝では右膝に自打球を当てた。この日も右足をかばうように歩く姿があった。「だるくて重い。(朝は)体があまり動かなかった。右肘の張りもあるが、それより足が痛い」と正直に打ち明けた。それでも一日の休養日は大きい。「休めるのが一番良かった」。練習後には電気治療を受け、銭湯に向かい体のケアに努めた。

 今大会は歴代2位の9者連続奪三振、史上7人目の2試合連続1―0完封と、既に歴史に「高橋光成」という名前を刻んだ。前夜は眠気と戦いながらもテレビ朝日系の「熱闘甲子園」を見て、自身への注目度の高さに「まだ信じられない」と驚いたという。一躍、大会の主役に躍り出た右腕は「点を取られなければ負けることはない」とはっきりと頂点を見据えた。

 ≪過去に2人≫夏の甲子園で過去に失点、自責ともにゼロで優勝した投手は、39年・海草中(和歌山)の嶋清一と48年・小倉(福岡)の福島一雄がおり、いずれも5試合連続完封。また、1失点で優勝した例は4度(いずれも自責1)あり、68年・興国(大阪)の丸山朗、74年・銚子商(千葉)の土屋正勝、89年・帝京(東東京)の吉岡雄二、92年・西日本短大付(福岡)の森尾和貴。

 ◆嶋 清一(しま・せいいち)1920年(大9)12月15日生まれ。45年(昭20)3月に戦死した。39年夏に海草中(現向陽・和歌山)のエースとして史上初の全5試合完封。準決勝、決勝では2試合連続でノーヒットノーランを達成した。08年に野球殿堂入り。

 ◆福嶋 一雄(ふくしま・かずお)1931年(昭6)1月6日、静岡県生まれの82歳。小倉中(現小倉・福岡)のエースとして47年夏に九州勢初の優勝。48年夏は史上2人目の全5試合完封で連覇を果たした。初めて甲子園の土を持ち帰ったといわれる。早大、社会人の八幡製鉄でも活躍した。今年野球殿堂入り。

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