マー君球団動かした!日米ポスティング新制度要求へ

[ 2013年8月13日 06:00 ]

練習中に笑顔を見せる田中

 日本球界から大リーグへの移籍手段の一つであるポスティング・システム(入札制度)が昨年12月から失効している問題で、楽天の立花陽三球団社長(42)が12日、薬物問題で揺れる大リーグ機構(MLB)との交渉が進んでいない日本野球機構(NPB)に対して働きかけを行う方針を明らかにした。今オフに同制度を利用して、メジャー挑戦する可能性のある田中将大投手(24)のためにも、早期の制度策定を求めた。

 入札金の高騰により、昨年6月にMLBが入札制度が含まれる「日米間選手契約に関する協定」を破棄。現在、失効している状態で、今オフにも同制度を利用する可能性がある田中が所属する楽天の立花球団社長は「今後も選手がアメリカに行きたいという時には重要な議案。我々も意見していく立場」とNPBに対し、何らかの働きかけを行う可能性を示した。

 田中は昨年12月の契約更改交渉で今季からの3年契約を結んだが、球団側にメジャー挑戦の意思を伝え、了承された。早ければ今オフにもメジャー移籍することができ、今季の登板試合にはヤンキースなど、多くの球団の幹部やスカウトが視察に訪れている。田中が海外フリーエージェント(FA)権を取得するのは早くても15年。今オフか来オフにメジャー挑戦する場合には入札制度が必要だ。また移籍金が入らない海外FAではなく、同制度での移籍なら球団にも多額の入札金が入る。

 現在、田中はプロ野球新記録の開幕16連勝中。立花社長は「これだけの選手を簡単に“どうぞ”と言う球団ではない。しっかりとコミュニケーションを取ることが重要」とし、シーズン終了後に行う田中との面談では来季残留を要請する方針だ。だが一方で「最終的に選手の意思というものは尊重するべきかなとも考えている」と本人の希望を尊重する意向もある。

 現状では日米間の選手移籍を制限するルールが失効しているため、日本の球団が米30球団と直接交渉を行う自由競争になることも考えられる。だが、NPBの井原敦事務局次長は「形式上は失効しているが(MLBとの)交渉は行っている。話し合いも続いている。(日米間の協定が更新されない状態だが)身分照会の手続きも行われており、日米の保有権の尊重はできている」と説明した。入札制度の申請解禁日は11月1日。NPBは入札金額を明らかにするオークション方式などを検討し、10月末をメドに新制度の成立を目指してMLBとの交渉を続ける。

 新制度が成立すれば、田中のメジャー挑戦の希望をかなえることになる。そのためには早期の新制度策定が第一。球団は今月下旬に行われる12球団代表者会議で、NPBに現状の報告や経緯など説明を求める方針だ。

 ▽ポスティング・システム(入札制度) 日本のプロ野球から大リーグに移籍する際、日本選手との交渉権を入札により決める制度。日本の所属球団が大リーグ挑戦を容認すれば、海外フリーエージェント(FA)権を持たない選手でも移籍が可能となる。大リーグ機構から公示された日本選手に対し、大リーグの獲得希望球団が入札。最高入札額を日本の所属球団が受諾すれば30日間の独占交渉権が発生する。97年オフに伊良部秀輝(当時ロッテ)が強引にヤンキースと契約した経緯から、日本選手獲得の機会均等を求めた大リーグ機構側の要望もあって日米間選手契約に関する協定で定められた。

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2013年8月13日のニュース