作新1年・朝山「桑田さんのように」 父はKKコンビ全国制覇時の主将

[ 2013年8月11日 06:00 ]

<桜井・作新学院>作新学院2番手の朝山

第95回全国高校野球選手権1回戦 作新学院17―5桜井

(8月10日 甲子園)
 時は流れ、伝説は受け継がれていく。30年前のあの熱い夏のようだ。作新学院の1年生投手・朝山は、運命を感じながら魂の65球を投じた。

 「やっと甲子園に来たんだな、と。父が言った通り、120%の力を出してくれる。本当に凄いところだと思った」

 7点リードの6回から救援。15歳の右腕は直球で押し、球速の異なる2種類のスライダーで翻ろうした。その堂々とした姿は、83年夏を制したPL学園の1年生投手・桑田をほうふつさせる。それもそのはずだ。朝山の父・憲重さん(48)は桑田、清原の「KKコンビ」が1年生で全国制覇したPL学園の当時の主将。朝山は、偉大な父の教えを通じて「KKのDNA」を受け継いでいるのだ。

 9回まで4イニングを投げ、2失点。打席では2安打1四球に盗塁まで決めた。投げて、打って、走る、そんなプレースタイルは父に学んだ。幼少時にキャッチボールで投げ方を教わった。「桑田はとにかく走ってたぞ」と聞き、人の倍走った。寮で率先してトイレ掃除をするのも桑田に倣ってのこと。人の嫌がることを率先してやる。「そういうところで野球の神様が味方してくれる」。そして「アウトローが桑田の原点」と教わり、外角低めの制球を磨いた。

 一塁側アルプス席では父が30年前の夏とダブらせていた。「運命を感じます。桑田と清原のいたあの夏のように、息子が同じ1年生の添田君と一緒に甲子園に出ているんですから」。2番・三塁で先発出場した添田も1年生。2四死球に犠飛で3得点に絡み、1年生2人が大勝を呼んだ。

 「まだまだ桑田さんのようにいかないけど、3年生と一日も長く野球をやりたい」。朝山は添田と目を合わせた。父が大旗をつかんだあの夏のKKコンビのように。

 ▼ロッテ・岡田(02年度卒)小針監督は作新の1年先輩なので、結果はチェックしています。まずは1勝、おめでとうございます。後輩たちが初戦で緊張する中で勝利をつかみ、OBとして本当にうれしいです。

 ◆朝山 広憲(あさやま・ひろかず)1997年(平9)11月25日、神奈川県生まれの15歳。小3から野球を始め、小6の時に父・憲重さんが監督を務める学童野球「真岡クラブ」のエースで全国大会出場。中学時代も「真岡ボーイズ」でエース兼4番だった。作新学院では今春1年生で背番号1を背負い、今大会は10番。1メートル75、73キロ。右投げ左打ち。

 ◇83年夏のPL学園 1年生投手の桑田、1年生4番の清原の「KKコンビ」が甲子園デビュー。清原中心の強力打線と桑田の快投で勝ち上がり、準決勝は夏春夏の3季連続Vを狙った池田のエース水野を桑田らの3本塁打で粉砕した。決勝では清原の本塁打などで横浜商に快勝。5番・遊撃の朝山主将は23打数8安打の打率・348、4打点の活躍で、5年ぶり2度目の優勝に攻守にわたって大きく貢献した。

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