マエケン 9勝目 打っても2安打「無理して本塁打を狙わないように」

[ 2013年8月1日 06:00 ]

<広・D>9勝目を挙げファンとハイタッチをする前田健

セ・リーグ 広島11-3DeNA

(8月1日 マツダ)
 エースが二刀流の活躍だ。広島・前田健太投手(25)が7月31日のDeNA戦(マツダ)で8回を5安打2失点の好投。今季9勝目を飾り、4年連続2桁勝利に王手を懸けた。バットを持っても大量点を呼ぶ2安打をマーク。右腕に触発された打線は今季3度目の1試合3発、今季4度目の先発全員13安打で大量11点の爆勝だ。広島は3位・DeNAと1・5差とした。

 猛暑の本拠地で投打に活躍した。岩本と並んだお立ち台。右腕は大粒の汗を浮かべながら「マツダスタジアムが(気温も応援も)一番アツい。毎年悔しい思いをしているけど、今年1年をアツいカープの1年にしましょう」と宣言した。自身3連勝で堂々9勝目。逆襲に燃える意気込みを、今季初めて声に出した。

 ガッツポーズを披露したのは4回だ。1死一、二塁で打席にブランコ。3球目にスライダーを投げた以外は、最速151キロを計測した直球で内外角を突いた。8球目の決め球は外角スライダー。注文通りの遊ゴロ併殺に仕留め、拳を握った。

 「直球で2球ファウルを打たせたのが大きい。変化球もあるので、最後は迷ってくれたと思う」

 7回までわずか81球の省エネ投球。8回2死三塁で石川に10球粘られ、適時打を許したのが誤算だったか。「勝ったけど嬉しさ半分。2点取られたのが悔しい」。それでも完投目前での降板には「暑さや出塁で球数以上に疲労を感じていた」とこだわりはなかった。

 何しろ、打者としても2安打2得点。特筆すべきは3―1の6回だ。1死一、二塁で、野村監督は「打撃の感じがよかったので強攻させた」。これが的中するからたまらない。三浦のフォークに反応し、好機を拡大する右前打。攻撃陣が刺激を受けるのは必然だった。

 昨季は巨人・小笠原モデルを使ったが、今季は同じ88年会の坂本モデルをアレンジしたバットを使う。前回25日の巨人戦(東京ドーム)でも適時二塁打を放つなど、投球以外のセンスにも磨きがかかる。「無理して本塁打を狙わないように、つなぐ意識でいるのが好調の秘訣かな」。冗談めかすエース。打率・242は打者顔負けだ。

 「一番(の勝因)はマエケンの投打に渡る活躍だね。投球もよかったけど、6回につないでくれたから、敵失につけ込むことができた」。指揮官はその奮闘に敬意を示した。これで4年連続2桁勝利に王手。「前半戦に2度抹消されたので、後半戦が勝負。期待してください」。乗ってきたエースがまばゆく輝いた。

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2013年8月1日のニュース