ジーター 惜別弾「きょうはマツイの日。彼に注目する日だ」

[ 2013年7月30日 06:00 ]

<ヤンキース・レイズ>松井氏引退式の最後にプレゼントを手に現れたジーター(右)

ア・リーグ ヤンキース6―5レイズ

(7月28日 ニューヨーク)
 ヤンキースタジアムには、もう一人帰ってきた男がいた。松井の引退式典終了からわずか5分後、球場のボルテージを最高潮に引き上げたのは松井の親友ジーターだ。

 右太腿の張りで故障者リスト入りしていたが、「2番・遊撃」で復帰。初回1死、レイズの先発ムーアの初球を叩き、右中間に先制の1号ソロを運んだ。カーテンコールに主将はヘルメットを振って応えた。

 ジョー・ジラルディ監督は「映画のようだった」と表現した。7月11日のロイヤルズ戦でDHとして今季初出場したが、その試合で再び故障。この日が2試合目の出場、しかもヤ軍の「聖域」ともいえる遊撃手として戻ってきた。首位レイズをサヨナラで下した試合後。米メディアは会見で当然のように本塁打について質問した。すると、ジーターはそれを遮った。

 「まず言いたいのは、きょうはマツイの日。彼に注目する日だ」。そして引退した親友への熱い思いを語った。「この式典は彼にとって凄く重要なこと。会えてうれしかったし、球団がこのような機会を設けて彼を表彰できて良かった」

 引退式典では、額に入った背番号55のユニホームの贈呈役を自ら買って出た。松井に歩み寄ると、「オッチャン!」と声を掛けた。6月26日生まれのジーターは以前、少し早い6月12日生まれの松井を親しみを込めて「トシヨリ」と呼んでいた。この日は新しい日本語で松井を冷やかし「きょうはプレーするんだろ」と優しくほほ笑んだ。

 巨人、ヤンキースでプレーした松井と、ヤ軍一筋のジーター。2人に共通しているのは、チームの勝利を最優先すること。「ヒデキが来る前の評判は本塁打を打つ“ゴジラ”だったが、実際は状況に応じた打撃をし、進塁打も打つ選手だった」。09年のワールドシリーズは松井がMVPを獲得し、ジーターも打率・407の活躍。力を合わせて世界一を勝ち取った。

 引退した親友への惜別弾。「彼の試合に出場できてうれしかった。これからもずっと最高のチームメートだ」。ジーターもまた、この日を一生忘れることはない。

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