三嶋 プロ初完封 球宴で学んだライアン小川と坂本の“姿勢”

[ 2013年7月29日 06:00 ]

<神・D>完封勝利の三嶋は笑顔でガッツポーズ。帽子のツバには「忍」の一字

セ・リーグ DeNA10-0阪神

(7月28日 甲子園)
 直球が脳裏にある相手を直球で仕留める。DeNAの新人・三嶋の真骨頂だ。9回無死。大和に外角スライダーを3球続けて追い込む。4球目は内角の142キロ直球。カットしようとした大和のスイングが空を切った。

 「高校の時は夢のまた夢だった。素晴らしい球場で完封できて一生忘れない」。福岡工で縁のなかった甲子園でプロ初完封を達成。9奪三振で通算奪三振を105とし、巨人・菅野を抜いてリーグトップとなった。

 最速150キロの直球にスライダー、カットボール、スプリットを織り交ぜる。空振りを奪える秘密は投球フォームにある。下ろした左足が突っ張った形で着地。急ブレーキをかけたようになり、その反動を利用して右腕を思い切り振る。中日の浅尾に似ている。左足を折る形がオーソドックスだが、この変則的なフォームが、手元で伸びる直球と切れのある変化球を生み出している。

 前半戦は3勝5敗。「こんな成績で出るのが申し訳ない」と球宴出場に最初は複雑な表情だったが、大きな収穫を手に入れた。同じ新人でリーグ最多の11勝を挙げているヤクルト・小川とのキャッチボール。「手元でグンと伸びる。距離に関係なく、全部思いっきり投げるんですよ。僕も無意識に忘れていた。常に全力でやる姿勢は見習わないと」。刺激を受けたのはグラウンドだけではない。練習後に球場の風呂へ入る際に巨人・坂本が先輩のスリッパを履きやすいように整えていた。「一流の選手は野球以外の姿勢もきっちりしている」と目に焼き付けた。

 阪神に同一カード3戦3勝。敵地・甲子園では00年5月以来13年ぶりのことで、中畑監督もうれしさいっぱいだ。「想定外も想定外も想定外。三嶋は球宴で一皮むけた。ふてぶてしい雰囲気。ハイタッチしようとしたら素通りされた」。借金を9とし、4位・中日に1・5ゲーム差をつけた。球団初のCS進出も夢ではない。「三振が取れるのは持ち味だけど、負け越しているので勝ちにつながる投球をしたい」と三嶋。4勝5敗。奪三振王はこれから真価を発揮する。

 ▼DeNA・友利投手コーチ 三嶋は制球は褒めるところがなかったけど、球威が凄かった。球宴で一流の投手と接して刺激を受けたのだと思う。

 ▽横浜(現DeNA)の00年甲子園3連戦3連勝 権藤監督率いる横浜が、野村監督就任2年目で前年8月から10連勝とカモにしていた阪神と激突。5月2日は斎藤隆(現楽天)、3日は小宮山、4日は三浦→森中→福盛のリレーで阪神打線を無得点に。チーム27年ぶりとなる3試合連続完封勝利を達成した。

 ≪08年桑原謙以来≫新人の三嶋(D)がプロ初完封で4勝目。チームで新人の完封勝利は、桑原謙が08年8月16日阪神戦でマークして以来になる。この日は9三振を奪い、今季105奪三振でリーグトップに立った。チームの新人で100奪三振以上は、97年川村が147奪三振して以来16年ぶり。新人で最多奪三振のタイトルなら99年の上原(巨)以来、球団では初となるが三嶋はどうか。

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2013年7月29日のニュース