ミスミス同点劇あったけど…丸サヨナラ打で締めた

[ 2013年7月27日 06:00 ]

<広・ヤ>お立ち台で「最高でしょ」とおどける丸

セ・リーグ 広島6-5ヤクルト

(7月26日 マツダ)
 苦しみながらも勝った。広島は26日のヤクルト戦(マツダ)に今季4度目のサヨナラ勝ち。5―5の延長10回、2死一、二塁で丸佳浩外野手(24)が中前打を放ち、激戦にピリオドを打った。悩める堂林翔太内野手(21)も終盤8回に5号ソロ。球宴帰りのホープ2人が要所で好打を放ち、5失策と乱れたゲームを勝利に結びつけた。

 劇的なシーンが最後に待っていた。同点の延長10回、倉と菊池の安打で築いた2死一、二塁の好機。打席の丸がカウント3―2からの6球目、146キロの内寄り直球を叩くと、スタンドは大歓声に包まれる。二塁から激走するベテラン。サヨナラの生還を見届けたナインは本塁上で踊った。

 「メチャクチャ嬉しい! 形どうこうじゃなく、バットに当てて食らいつこうと思った。二塁から一生懸命走ってくれた倉さんに感謝です」

 黄色い声援を浴びながら、殊勲の丸がお立ち台で声を張り上げる。ファン投票で球宴初出場を果たした24歳。「ここで打ったらヒーローという気持ち」。一流の野球人と接した大舞台での経験はしびれる場面で生きた。

 ヒーローにはなり損ねたが、2年連続で球宴の舞台を踏んだ堂林も、バットで意地を見せた。こう着状態に陥った4―4の終盤8回。先頭打者でカウント3―2からのスライダーをジャストミート。放物線を描いた打球は大歓声に押され、左中間席へ吸い込まれた。

 14打席ぶりの安打。12日のヤクルト戦(神宮)以来の5号勝ち越しソロだ。それまでの3打席は無安打2三振。同点の終盤、多くの視線を集める場面で劇弾を放つことができるのは、21歳が持つ魅力に他ならない。

 「エラーの分を、何とか取り返そうと思っていた。それだけです」

 汚名返上弾だった。先制した直後の2回に犯したミス。2死三塁で中村のゴロを後逸した。先発・大竹の足を引っ張るタイムリーエラー。ホットコーナーには苦痛に顔をゆがめる21歳がいた。

 「ミスは反省しなければいけないけど、きょうは選手に粘りを感じた。最後は丸がよく打ってくれた。勝ててよかった」

 4回の攻撃前に自ら円陣を組み、「去年の重い雰囲気になっているゾ」とナインを鼓舞した野村監督は激勝に表情を緩めた。苦しみながらも2連勝。丸は力を込める。

 「負けてもおかしくない展開。ミスがたくさんあったけど、その中でも粘れた。勝ちつなげられたのは大きい」

 最下位・ヤクルトを突き放した夜。ナインは逆襲の意欲に満ちていた。

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2013年7月27日のニュース