JX―ENEOS 51年ぶり連覇 全5試合登板の大城が橋戸賞

[ 2013年7月24日 06:00 ]

<JR東日本・JX-ENEOS>連覇を決め、胴上げされるJX-ENEOS・大久保監督

第84回都市対抗野球決勝 JX―ENEOS3―1JR東日本

(7月23日 東京ドーム)
 JX―ENEOS(横浜市)が2年連続11度目の優勝を果たし、前身の日本石油が61、62年に達成して以来51年ぶりの大会連覇を成し遂げた。昨年と同じカードとなったJR東日本(東京都)との決勝戦。序盤から優位に試合を進め、最後は8回から登板したエースの大城基志投手(25)が締めて3―1で振り切った。全5試合で好投した大城は、61年ぶり2人目となる2年連続の橋戸賞受賞。大久保秀昭監督(43)は史上最多タイとなる3度目の優勝監督となった。

 歴史の扉をこじ開けた。実に51年ぶりの連覇達成。最後を締めて笑顔でマウンドを駆け下りるエース大城に、ナインが次々と抱きつく。1年間付き合ってきたプレッシャーから、ようやく解放された瞬間だった。

 「あしたから休みなので、きょうまでは頑張ろうと。勝てる投手を目指してここまでやってきた。去年より長い回を投げられたし、優勝できて良かった」

 社会人4年目。1メートル72の小柄な左腕は、8回からの2イニングを無安打に抑えて優勝投手に輝いた。全5試合に登板し、51、52年の全鐘紡・松井実内野手(日本生命からの補強)以来、61年ぶり2人目となる2年連続の橋戸賞受賞。「今は実感がないけど、少ししたら凄いことをやったな、と思うでしょう」と笑った。

 昨年は5試合中4試合に登板。決勝は8回の1イニングのみで、優勝の瞬間はベンチで見守った。大事な場面を任される真のエースを目指し、今年は1日200球前後の投げ込みを続けた。食事面ではパンやラーメンなどで夜食を取り、1日4食に。体重を昨年から5キロ増の70キロとし、スタミナを強化した。前日の準決勝では151球を投げて完投したが、その影響をまったく感じさせなかった。

 「最後は大城しかいない。できれば9回だけと思ったけど、厳しい展開なので8回からいってもらった」と大久保秀昭監督。9回2死の場面ではベンチで思わず「大丈夫、大丈夫」とつぶやくなど、最後は祈るような心境だったという。優勝監督インタビューでは「ずっと(プレッシャーと)戦ってきました。そのプレッシャーを選手がはねのけてくれた。ヘボ監督を選手がカバーしてくれた」と涙で言葉を詰まらせた。監督として3度の優勝は、川島勝司氏(元ヤマハ監督)、三菱ふそう川崎・垣野多鶴監督(現NTT東日本監督)に並ぶ史上最多タイ記録。名実ともに名将の仲間入りを果たしたが「僕のことはいい」と選手を持ち上げた。

 昨年の都市対抗、日本選手権に続き、3季連続の日本一は史上初の快挙。秋の日本選手権では史上初の2年連続2冠を狙う。「2冠を目指せるのは自分たちだけ。今はまだ見えないですけど」と大城。半世紀を超える時間を埋めた快挙にしばし浸ってから、再び進撃を始める。

 ▽JX―ENEOS 社名はJX日鉱日石エネルギー株式会社。1888年(明21)5月10日設立。社員数は1万3990人(13年3月31日現在)。資本金は1394億円。硬式野球部は日石CALTEXとして1950年(昭25)創部。10年から現在の名称。都市対抗は3年連続47度目の出場。主なOBは元巨人の藤田元司氏(故人)、田沢純一(レッドソックス)ら。本社は東京都千代田区大手町2の6の3。一色誠一社長。

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