成田の2年生4番・椿 天国の父に贈る2戦連発弾

[ 2013年7月22日 06:00 ]

<東海大浦安・成田>初回に先制の3ランを放ち、右手を突き上げて喜ぶ椿

千葉4回戦 成田7―4東海大浦安

(7月21日 千葉県営)
 第95回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は21日、42大会で224試合が行われた。千葉大会では3年ぶりの甲子園を狙う成田が、東海大浦安を下して16強入り。4番の椿大(だい)内野手(2年)は初回に2試合連続となる左越え3ランを放った。また南北海道大会決勝では北照が駒大苫小牧を破り、春夏連続出場を決めるなど、新たに4校が甲子園に名乗りを上げた。22日は31大会で126試合が行われる。

 お父さんのために。初回1死一、三塁。成田の4番・椿が初球の高め直球を振り抜き先制の3ラン。スタンドインを確認すると、ダイヤモンドを1周する間に何度もガッツポーズを繰り出した。 「後ろにつなごうと打席に立ったけど、良いところで(本塁打が)出た。チームのために先制点が取れてうれしかった」

 野球を始めたのは柏日体で捕手として活躍した元高校球児の父、健司さんの影響。現在、成田国際でマネジャーを務める姉の奈々さんとともに小学生の時、地元のチームで野球を始めた。家の近くのグラウンドで毎日、父と練習に励み「(野球は)お父さんに教えてもらった」という。だが、尊敬する父は中学2年の夏、がんで他界(享年46歳)。健司さんは高校時代、甲子園に出場できず「息子が甲子園に行く姿を楽しみにしていた」と母の敬子さん(43)は振り返る。

 努力を重ね昨春、強豪・成田に進学。今夏は2年生ながら4番に座り、父の命日だった18日の船橋芝山戦では公式戦初本塁打を放った。この日の一発は2戦連発となったが「大きいのを狙わずチームのためのバッティングをしなさい」という父の教え通り、5回無死二塁の場面では、きっちりと三塁前へ犠打を成功。7点目を演出した。

 椿の先制弾で勢いに乗った打線は9安打7得点で乱打戦を制し、5回戦に駒を進めた。「お父さんのためにも甲子園に行きたい」。父も憧れた夢の舞台に立つことは、同時に女手一つで育ててくれている母への親孝行にもなる。

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