JX―ENEOS “底力”3試合連続逆転!「逆転のPLみたい」

[ 2013年7月21日 06:00 ]

<JX-ENEOS・東京ガス>8回2死一塁、JX-ENEOS・山田の適時二塁打で生還した一走・井領(右)はガッツポーズ

第84回都市対抗野球準々決勝 JX―ENEOS4―3東京ガス

(7月20日 東京ドーム)
 王者の底力だ!2回戦2試合と準々決勝1試合が行われ、連覇を狙うJX―ENEOS(横浜市)は3点を追う8回に、山田敏貴外野手(25)が勝ち越し二塁打を放つなど一挙4点を挙げて逆転。4―3で東京ガス(東京都)を下して4強進出一番乗りを決めた。また、パナソニック(門真市)と新日鉄住金かずさマジック(君津市)が8強入り。21日は準々決勝3試合が行われ、4強が出そろう。

 まだ終われない。スコアボードにゼロが並ぶ重苦しい展開。土俵際まで追い込まれた王者が牙をむいたのは、3点を追う8回だった。

 2安打1四球に相手の守備の乱れが絡んで1点差。なお2死三塁でプロ注目の井領は「何でもいいからヒットを打とうと思った」と初球を右前に運んだ。完全に詰まった当たり。泥くさくつないだ同点劇にガッツポーズで雄叫びを上げた。

 午後10時を過ぎて鳴り物の応援は既に終了。手拍子と大歓声が東京ドームに響く。そして4番・山田が続いた。「みんながつないでくれたチャンス。ここしかない、4番の自分が決めてやろうと思って打席に入った」。フルカウントからファウルで粘って7球目。「直球一本に絞っていた」と139キロ直球を右中間二塁打し、井領が一塁から一気に生還した。

 4回にミスが絡んで3点先制を許し、打線は7回まで4安打無得点。最悪の流れを断ち切ったのは、最後まで諦めない勝利への執念と目に見えない王者の底力だ。昨年は88年の東芝以来、史上2チーム目となる都市対抗と日本選手権の同一年での2冠を達成。大久保秀昭監督は「去年2つ勝ったことで、どこかに自信が付いているのかもしれない」とうなずき「力がないと追い越せない。本当によくひっくり返した」と選手を称えた。

 前身の日本石油が62年に達成して以来、51年ぶりの連覇に挑む今大会は初戦から苦戦が続く。3試合連続の逆転勝ち。大久保監督は「“逆転のPL”みたい。監督が何もしないのがいいのかな」とおどけた。あと2つ。山田は「先を見ると足をすくわれる。まず準決勝。一つ一つ戦う」と言った。偉業に向かう「逆転のENEOS」の夏は、まだ終わらない。

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2013年7月21日のニュース