黒田 30球団勝利王手 野茂に並ぶ 雨で交代指令も本能のNO

[ 2013年7月14日 06:00 ]

<ヤンキース・ツインズ>止まない雨。回の合間にマウンドを整備する整備員の横で見守る黒田

ア・リーグ ヤンキース2―0ツインズ

(7月12日 ニューヨーク)
 アラフォーにして駄々をこねた!ヤンキースの黒田博樹投手(38)が12日(日本時間13日)、ツインズ戦に先発。試合開始時から雨が降る中、4回の自軍攻撃中に1時間13分の中断。首脳陣からは交代指令が下ったが断固として聞き入れず、続投して5回6安打無失点で8勝目を挙げた。この1勝で野茂英雄氏(44)に並ぶ29球団勝利を手にし、30球団勝利に王手。防御率も2・65とし、ア・リーグトップに立った。

 やまない雨。試合は1時間13分の中断。ベンチ裏では怒号、だった。

 黒田 ドジャースの時も1時間半くらい待って投げたことがある。

 ラリー・ロスチャイルド投手コーチ それは38歳の時の話か?

 黒田 オールスター休みもある。間隔が空くので大丈夫。

 コーチ 仕方ない。投げろ!

 中断が宣告されたのは4回のヤ軍攻撃中。大リーグでは中断時間が1時間を超えると、100%交代のケースだ。温厚な風貌ながら「瞬間湯沸かし器」の異名を持つロスチャイルド投手コーチが交代を指示する。しかし黒田は一歩も引かない。中断中もトレーニングルームなどで体を動かし続けた右腕の情熱が勝った。35歳だったドジャース時代の10年6月15日のレッズ戦では、2時間24分の雨天中断にもかかわらず続投して勝利。熱い心に衰えはない。「気持ちを切らさないようにした。1勝するのは大変だと、つくづく思った」

 続投した5回は2死から二塁打と四球で一、二塁とされたが、ドーミットを二ゴロ。「自分で(続投と)言った手前、あそこはどうしても抑えたかった」と気持ちで抑えた。防御率2・65はア・リーグ1位に浮上した。

 これで30球団勝利にはタイガースだけとなった。タ軍とは8月9~11日(日本時間10~12日)に3連戦が組まれており「次はデトロイトですかね。勝てればいい」と言う。あの野茂英雄も成し遂げられなかった全球団制覇。長く、タフに投げ続けてきた男たちだけに与えられる勲章。黒田にはその資格がある。

 ≪野茂も29球団勝利≫黒田の29球団勝利は、野茂英雄に並ぶ日本人投手最多タイ。残るタイガースは、過去3試合に先発し、0勝1敗、防御率3.72。過去に30球団勝利を達成したのは12人。この中には現在ソフトバンクに所属するパディーヤも含まれている。野茂が唯一勝てなかったのは大リーグで最初に所属したドジャースで、2試合に先発して0勝1敗、防御率2.25と援護に恵まれなかった。30球団勝利は黒田のほかにも、ナショナルズのハレンがフィリーズを残して王手をかけている。

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