20年負け越しパイレーツが悟ったチーム強化の知恵

[ 2013年7月7日 09:44 ]

 パイレーツは20年負け越しシーズンを続けている。米国プロスポーツ界の最悪記録だ。しかし、下位の連続で得たドラフト上位指名で戦力が充実した。今季の目標は勝率5割突破だが、夢は大きく膨らんでいる。折り返し点で51勝30敗の貯金21。カージナルス、レッズの2強がいるナ・リーグ中地区の首位争いに加わった。

 2強はリーグの打撃、投手、守備3部門全て3位以内。対するパイレーツは打撃も守備も11位だが、1位の投手部門が命綱で守り勝ちが得意技だ。その投手陣の柱の一人、22歳のゲリット・コールの動向に注目が集まった。

 コールは2年前のドラフト全体1位のエリートで、6月11日の昇格から4連勝し先週初黒星。「コールをマイナーに落とす時が、プレーオフを諦めた時」と言うのだ。

 大リーグでは即戦力の新人でも開幕ベンチ入りはまずない。6月昇格が多いのは球団が選手のベンチ入り日数を少なくして、大リーグ登録3年で選手が得る年俸調停権、6年で得るフリーエージェント権を1年でも先に延ばそうとの画策のため。

 選手には不利だが、本拠地ピッツバーグのファンの見方がなかなかだ。「私は選手組合シンパだが、球団が選手の登録日数を調整するのは理解できる。育てた選手を囲い込み強いチームにするにはそうするしかない」「球団がそういう細工をするのは常識。FAを買えない球団の知恵だ」

 負け続けの20年で悟ったチーム強化のリアリズム。プレーオフ絶望ならコールのマイナー行きも仕方ないが、ようやく芽生えた夢は実らせたいところだ。

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2013年7月7日のニュース