39歳三浦 47歳昌さんお手本に完投で「泣きそう!」

[ 2013年7月1日 06:00 ]

<D・中>9回2死一、三塁、中前にサヨナラ打を放った中村と抱き合う三浦

セ・リーグ DeNA3-2中日

(6月30日 横浜)
 オヤジパワーが野球界を盛り上げる。DeNAの三浦大輔投手(39)が30日、中日戦で9回9安打2失点の熱投で、チームに今季5度目のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。山本昌投手(47)との投げ合いは、2人合わせて87歳4カ月の球界史上2番目の高齢対決となったが、今季最多の130球完投でハマの番長が今季6勝目をもぎとった。

 不格好でもいい。ベンチを飛び出した三浦は自慢のリーゼントが崩れたまま、歓喜の輪に飛び込んだ。9回2死一、三塁から同学年の中村がサヨナラ適時打。39歳6カ月のエースは、中村と並んだお立ち台で絶叫した。

 「泣きそう!ノリ(中村)が400号を打って最後も決めてくれた。マウンドに上がるたびに、お客さんが大きな声援を送ってくれた。もっともっと頑張ります」

 今季最多の130球を投げ、自身の持つ球団の史上最年長記録を塗り替える2失点完投勝利で今季6勝目。47歳10カ月の山本昌と合わせて87歳4カ月となる史上2番目の高齢対決を制した。

 左腕を見習った。ベルトより高い球を痛打されて5回に勝ち越しを許したが、「昌さんは丁寧に投げていた。自分も球が高かったんで低く投げよう」と6回以降はイニング間のキャッチボールで球離れの早かったフォームを修正。9回2死一、二塁では大島をフォークでストライクを奪い、外角低めシュートで一ゴロ。1、2打席目は高めの変化球を痛打されたが、直球は140キロに満たなくても、球半個分を出し入れできる制球力と多彩な変化球がある。投げるだけでない。8回の打席ではフルスイングでフェンス手前の中飛。「あんなもん。飛ばないよ」と照れるが、必死な姿に勝利の女神は振り向いた。

 制球力を武器に、名球会入りした山本昌は目標でもある。毎オフ、昭和48年会と40年会の交流イベントで「200勝まであと何勝?大丈夫、絶対できる。1年でも長くやらなきゃ」と声を掛けてくれる。大先輩に投げ勝ち、これで通算158勝。「俺はまだまだ。昌さんは力任せでなく、ゆったりしたフォームと投球術で打ち取る。お手本だよ」と敬意を払う。

 ただ、200勝より大事な目標がある。6月24日に35歳の誕生日を迎えたサッカー元日本代表の横浜MF中村俊輔との約束がある。シーズン前に対談し「横浜を一緒に熱くしよう」と誓った。「マリノスは優勝を狙える位置にいるし、俊輔も頑張っている。今の位置で笑われるかもしれないが本気で優勝を狙っている」と言葉に力を込める。

 中畑監督は「大輔はマウンドで闘う魂がある。この姿が若手に伝わってほしい」と絶賛した。「グラウンドに出れば年は関係ない。(本塁打を打った)ノリとか多村とか終わってみればベテランがたくさんいたけどな」。12月25日のクリスマスで40歳だが、若手にエースの座を譲るつもりは毛頭ない。

 ▼DeNA・友利投手コーチ(三浦について)よく投げ抜いたね。きょうは(三浦)大輔と心中だと監督とも話していた。(山本)昌さんもそうだけど勝ちへの執念が他の投手とは違うね。

 ▽三浦の生まれた1973年(昭48)の世相 為替レートが2月14日に1ドル=308円の固定相場制から変動相場制に移行。同月25日に桜田淳子が「天使も夢みる」、5月21日には山口百恵が「としごろ」で歌手デビュー。角界では5月30日、輪島が学生相撲出身で初となる横綱昇進。8月に金大中事件が発生。10月以降、第4次中東戦争による第1次オイルショックで国内の消費が低迷。プロ野球は巨人が日本シリーズを制してV9を達成、オフに日拓が日本ハムに球団を売却しヤクルトは「アトムズ」から「スワローズ」に改称された。

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