6年前に交代進言 恩師・森繁和氏が山井祝福「次の試合こそ大事」

[ 2013年6月29日 09:05 ]

<D・中>ノーヒットノーランを達成した山井

セ・リーグ 中日9-0DeNA

(6月28日 横浜)
 史上77人目(88度目)のノーヒットノーランを達成した中日の山井大介投手(35)を、2004~11年に中日でコーチを務めた“恩師”森繁和氏(58)が祝福。8回まで完全投球を続けながらマウンドを降りた07年の日本シリーズ第5戦を振り返り、「あらためて、おめでとう」と言葉を贈った。

 記録達成を自宅のテレビで見届けて、山井にすぐメールを送った。「おめでとう!ナイスピッチングだったな」。そして付け加えた。「次の投球が大事だよ」と。直球にスライダー、フォーク…。中日のコーチ時代からずっと見ているが、それぞれ並外れたボールを持っている。この日のように、決していい状態ではない時にいかに抑えるか。その結果の快挙達成。だからこそ、次回の登板が何より大切になる。

 07年11月1日。中日のバッテリーチーフコーチだった私は、8回が終わった時に山井に聞いた。「どうする?」。答えは「岩瀬さんでお願いします」――。5回、私はボールに血が付いているのに気付いた。中指のマメ。当時の落合監督はベンチ裏に下がって、お茶を飲みながら静かに考えていた。その姿を監督室まで追いかけ、言った。

 「代えますよ」「えっ、それでいいのか?」。本当に厳しい選択だった。本来なら完全試合をやらせたかった。しかしスコアは1―0。無理をさせて、もしも結果が悪い方に出たら…。山井だけでなく、チームに与えるショックも大きかっただろう。その責任を、山井一人にかぶせてしまうようなことだけは絶対にできなかった。

 「本人が結論を出してくれて良かったな。本人が行くって言ったらどうしようと思っていたよ」。落合監督はそう言った。山井は昨季56試合に登板。5試合に先発する一方で、15セーブを挙げた。今季も中継ぎスタート。いろいろな経験をし、最後にまた先発に戻ってきた。あれから6年。あらためて、おめでとう。山井、次の試合こそ、大事だぞ。 (元中日ヘッドコーチ、スポニチ本紙評論家)

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2013年6月29日のニュース