カノ後継者だ!加藤ルーキーL開幕戦でいきなり本塁打

[ 2013年6月23日 06:00 ]

<ルーキー・リーグ ヤンキース・パイレーツ>5回裏先頭、右越本塁打を放つ加藤

ルーキーリーグ ヤンキース6―4パイレーツ

(6月21日 タンパ)
 衝撃デビューだ!ヤンキースにドラフト2巡目(全体66番目)で指名され入団した加藤豪将(ごうすけ)内野手(18=ランチョ・バーナード高)が21日(日本時間22日)、ルーキーリーグの開幕戦に「6番・二塁」で出場。第2打席でいきなりソロ本塁打を放った。5回までの出場だったが、二塁の守備でも軽快な動きを披露。大リーグ最高の二塁手であるロビンソン・カノ内野手(30)の後継者として期待される米国生まれの若武者の挑戦が始まった。

 小雨が降るタンパの空に、白球が舞い上がった。1―3で迎えた5回の第2打席。先頭の加藤は、1ボール1ストライクから左腕投手の内角カーブを思い切り引っ張ると、打球は右翼フェンスを越えていった。プロデビュー戦で本塁打。背番号19は表情を変えず、ダイヤモンドを一周した。

 「きょうは楽しんでいこうと思って。打って当たり前じゃないけど、このまま良い時も悪い時も同じ感じでやろうと思って走りました」

 初打席となった2回は右直に倒れたが、第2打席で強烈なインパクトを与えた。表情はまだあどけない。だが、その堂々とした受け答えは、プロの世界でやっていく覚悟が感じられた。

 両親は日本人で、サンディエゴの高校を卒業したばかりの18歳。この2週間で取り巻く環境は激変した。名門カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)への推薦が内定していたが、今月6日のドラフト会議でヤンキースから2巡目指名を受けた。「メジャーでプレーするのが夢だった」と進学を断念。2日前の19日に契約を結んだ。

 幼少期から日常生活は英語で、スペイン語も話すことができる。新しい環境にもすぐになじんだ。19日の練習では、リハビリで調整しているスーパースターのジーターやロドリゲスと初対面。積極的に話しかけるなど大物ぶりも発揮した。

 1メートル88の体格だが「僕はパワーヒッターではない。できるだけレフトに打ちたい」と言う。米国の高校も日本と同じように金属バットを使用。木製バットに慣れるのに苦労する選手も多い中「シーズンオフに木のバットを使うトーナメントがあって、そこに出場していた」というだけあって、いきなり本塁打を放つところに非凡な才能を感じさせる。「みんなびっくりしたでしょう。日本人がいきなりホームラン打っちゃって」と白い歯をこぼした。

 米メディアに「猫のようなグラブさばき」と評された二塁の守備でも軽快に併殺をさばくなど、4度の守備機会を無難にこなした。チームに合流して間もないため、当初から出場は5イニングの予定。今後は8月下旬まで60試合を戦うことになる。

 加藤が所属するルーキーリーグは、最も下のカテゴリー。ほとんどが同世代で、アメリカンドリームを夢見る中南米の選手が多い。過酷な生存競争が始まったが、悲壮感はない。「このままキープして、次の1Aスタテンアイランドに行けたらいいですね」。イチローに憧れて左打ちにした加藤。同じチームの一員となり、一つ一つ上を目指していく。その目は希望に満ちあふれていた。

 ▽ガルフコースト・リーグ マイナーリーグでも最下層レベルに位置するルーキーリーグの一つ。1964年に創設され、現在はフロリダ州にキャンプ地を置く15チームが参加しているが、ヤンキースだけが2チームを保有し、全16チームが4地区に分かれてリーグ戦を行う。6月中旬に開幕し、8月下旬までに60試合を戦う。チーム名は他のレベルのマイナーリーグと違い、親チームの名前を流用。試合もキャンプ施設の球場を使用する。

 ◆加藤 豪将(かとう・ごうすけ)1994年(平6)10月8日、米国生まれの18歳。幼少期を日本で過ごし、00年に渡米後、英語を学ぶ一環で6歳のときにTボール(ティーにボールを置いて打つルール)で野球を始める。ランチョ・バーナード高では1年生からレギュラーに抜てきされ、4年生の今年はローリングス社が選ぶ全米のセカンドチームに選出。今年6月のドラフトでヤンキースから2巡目(全体66位)で指名され、同19日に正式契約を結んだ。1メートル88、82キロ。右投げ左打ち。

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2013年6月23日のニュース