能見 完投も無援 “別人”は2、3回だけ「負けたら一緒」

[ 2013年6月16日 06:00 ]

<楽・神>2回2死二、三塁、一塁ベースカバーに入り、しばらく動けずうつむく阪神・能見

交流戦 阪神1-2楽天

(6月15日 Kスタ宮城)
 内容だけ見れば、勝ち投手になっても何らおかしくない。4回以降は打者15人に対し完全投球で許した安打は3本。ただ、そのうち2本が失点に結びついた。先発した阪神・能見が3試合連続完投ながらも、勝利の女神が分厚い雨雲に隠れ3敗目。自身の連勝も5でストップした。

 「負けたら一緒です」

 別人の能見が2回だけ存在した。先頭のジョーンズに四球を与えたものの続くマギーと中島をあっさり料理。下位打線に入ることもあり、心配無用…と胸をなで下ろしかけた直後に島内に右前打、嶋にも四球で2死満塁。悪循環は止まらず、9番・藤田の初球フォークはワンバウンドとなって捕手・藤井彰がそらす間に、三走・ジョーンズの生還を許した。

 「(2回先頭の)ジョーンズへの四球やろ。ヒット1本で1点やから」。中西投手コーチも助っ人への四球を指摘する。藤田を一ゴロに打ち取った直後、エースは一塁ベース付近で両手を膝につき、うなだれた。その背中からは、先制を許してしまったことへの責任がにじみ出ていた。

 同点に追いついてもらった直後の3回にも悪夢は待っていた。1番・松井に初球を左翼スタンドへ運ばれ、結果的に決勝点となった。「データ通り。直球待ちというところでね」。裏をかき、チェンジアップを選んだまではよかったが、藤井彰の要求より、やや高めに浮いた。打球の着弾点を見届けることもしなかったほど、打たれた瞬間にそれとわかる一発だった。

 得点と安打を許したのはこの2イニングのみ。残りの6イニングはすべて3者凡退だけに悔やんでも悔やみきれない―。リードされていてもマウンドを譲らなかった。「飛ぶ統一球」に変わっていても、投球の凄みは変わらなかった。勝ち切れなかった悔恨は胸にしまう。打倒巨人のためには、能見の力が不可欠なのは言うまでもない。敗戦を次なる進化の糧にするのがエースだ。

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2013年6月16日のニュース