ジョーンズ マー君の米挑戦に太鼓判「あとは適応力」

[ 2013年6月11日 10:00 ]

<楽天練習>Vへの照準ピタリ。バットを手にするジョーンズ

 交流戦は佳境に入った。台風の目は2位の楽天。好調を支えるのは、新外国人アンドリュー・ジョーンズ外野手(36)だ。打率・253ながら、11本塁打、32打点で不動の4番として活躍。メジャー通算434本塁打の超大物助っ人が球団創設9年目での初優勝に向け、本紙のインタビューに答えた。日本でのプレーを選択した理由や東日本大震災の被災地・仙台への思い、将来的なメジャー挑戦を目指すエース田中将大投手(24)のことなどを語った。

 ――96年にブレーブスでメジャーデビュー。まだ19歳だった。メジャー通算434本塁打は歴代助っ人No・1だ。36歳の今もポテンシャルは維持している。

 A・ジョーンズ(以下、AJ) ずいぶん年は取ったよ。ただ、ストレッチをしっかりやるなど自分のルーティンは守ってきた。交流戦で一塁を守る時は試合前に10~15球ゴロ捕の練習をしたり、必要ならいつもよりバットを振ったりするが、多くのことは長い年月の中でも変えていない。

 ――メジャー時代から評価の高い選球眼は、日本でも現在両リーグトップの45という四球数が証明している。

 AJ 打てる球が来たら振る。来なければ振らない。それが4つ重なれば結果として四球になる。打てる球を仕留められれば安打、二塁打、そして本塁打になる。打ち損なえば凡打だ。非常にシンプルだが、ずっとそうしてやってきた。

 ――星野監督とは何度か食事を共にしている。

 AJ 星野監督に対しては最大限の敬意を持っているし、彼もわれわれ選手全員を信じてくれる。そのことに感謝したい。監督からは「準備の仕方は分かっているだろうから全て任せる」と言ってもらった。その言葉はありがたかった。信頼関係は築けている。

 ――過去所属した5チームのうち3チームで13度の地区制覇を経験。優勝請負人のイメージも強い。ただ、最近数シーズンは左投手限定での起用など、出場機会が制限されていた。

 AJ もっと多くの試合に出たかったので、楽天から声を掛けられた時はうれしかった。日米野球で2度(98年、06年)来日し、日本の文化も気に入っていた。だが、私は日本に野球を楽しみに来たのではない。優勝の力になるために来た。このチームは若い選手が多い。彼らに「勝利の哲学」のようなものを伝えたい。そのために努力している。

 ――ジョーンズが新天地を日本に求めたように、チームメートの田中は将来的にメジャーに挑む可能性が高い。

 AJ 彼の才能は疑う余地がない。メジャーは最高の舞台の一つ。大勢の人間が世界中から集まり、そこで活躍するために努力している。彼は才能、ガッツ、(メジャーに)行きたいという強い意志…全てを備えている。大切なのは適応力。私が今、日本の投手に適応しようと努力しているように、彼もそれができれば何年もメジャーで成功する投手になれる。

 ――11年3月に起きた東日本大震災の被災地を本拠とする楽天は、復興のシンボルという側面もある。ジョーンズ自身も来日翌日の1月29日に同僚のマギーと津波被害の大きかった宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区を訪れている。

 AJ 米国で地震や津波のことを知った時、大惨事とは感じたが、それ以上のことを知ろうとしなかった。来日してケーシー(マギー)と閖上地区を訪れ、初めて悲劇の現場を目の当たりにし気持ちが凄く動いた。

 ――入団会見で2人はホームラン1本につき5万円を震災孤児への支援金として寄付することを発表した。

 AJ 被災地の実情を知って、すぐにケーシーと相談して決めた。そして、このチームが優勝することで家族を亡くされたりした方が少しでも勇気づけられ、地震のことを一瞬でも忘れ、新たな未来に向かう勇気を持つ手伝いがほんの少しでもできればいい。常々そう考えている。

 ――楽天は現在交流戦2位。交流戦優勝、そしてリーグ制覇は可能か。

 AJ まず次の試合に勝つことを考えている。その先に優勝がある。もちろん交流戦は優勝したい。それが、われわれが本気なんだという意思表示にもなる。ここまでのチームの戦いには誇りを感じている。あとはケガをしないで戦い抜けば、いい結果が待っていると信じている。

 ◆アンドリュー・ジョーンズ 1977年4月23日、オランダ領キュラソー島生まれの36歳。93年にブレーブスと契約。96年に19歳でメジャー初昇格。同年に出場したワールドシリーズでは、第1戦で本塁打を放ち、ミッキー・マントル(ヤンキース)が持っていた同シリーズの最年少本塁打記録を更新。98年からは10年連続20本塁打&ゴールドグラブ賞という偉業を成し遂げた。05年には51本塁打、128打点で2冠王。メジャー通算成績は2196試合で打率・254、434本塁打、1289打点。1メートル85、102キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2013年6月11日のニュース