316日ぶり古巣で温かい拍手と歓声…イチロー「なんか上品」

[ 2013年6月8日 06:00 ]

<マリナーズ・ヤンキース>2回、歓声の中、打席に立つヤンキースのイチロー

ア・リーグ ヤンキース6―1マリナーズ

(6月6日 シアトル)
 316日ぶりのセーフコ・フィールド。ヤンキースのイチローはいつもと同じように屈伸し、打席に入った。そしてバットを構える。2回の第1打席。11年半の間、当たり前だった景色が帰ってきた。違うのはユニホームと背番号。古巣のファンは、温かい拍手と歓声で迎えた。

 「そんな反応をするほどのボリュームではないですから。それをありがたくいただいて入ったということですよね」

 確かに、ヘルメットを取ってあいさつするほどのオベーションはなかった。それでも気持ちは伝わった。「テンションが東(海岸)と全然違うから。なんか上品ですよね。ヤンキース側からはこういうふうに見えていたんだ、と。面白いね」と感謝した。3回2死一、三塁では、7連打6得点の猛攻を締めくくるダメ押しの左前適時打。今季最長の7試合連続安打をあいさつ代わりとした。

 おなじみの風景も目に飛び込んできた。右翼席最前列には、04年に始まった「イチメーター」が登場。製作者のエイミー・フランツさんが、今季の安打数と日米通算安打の両方を表示する特別仕様を製作し、3回の適時打後には「50」と「3934」が表示された。練習中と9回の2度、フランツさんにボールを投げ入れたイチローも「あそこにあれがあるっていうのは、景色の一つだから。彼女が来てくれたことは凄く大きかったと思います」と謝意を示した。

 自宅ではなく、中心部の宿舎ホテルから球場入りしたのは初めて。「あんなにたくさんスタバ(スターバックス=シアトル発祥のコーヒー店)があるなんてことは、12年いても知らなかった。やっぱ、スタバの街だな」と新たな発見もあった。「凄くいいファン、いい場所。相手としてここへ」。今季、シアトルでの試合はこの4連戦だけ。慣れ親しんだファンと街へ、残り3試合も全力で恩返しをする。

続きを表示

この記事のフォト

2013年6月8日のニュース