WBCからの疲労蓄積も…マエケンと明暗分けた摂津の“修正能力”

[ 2013年6月2日 08:02 ]

<ソ・広>5勝目を挙げた摂津は今宮(右)に声をかけ笑顔

交流戦 ソフトバンク10-1広島

(6月1日 ヤフオクD)
 どんな状態でも勝つ。それがエースだ。ソフトバンクの摂津正投手(31)は1日、広島戦で8回4安打1失点で今季5勝目を飾った。5月25日のヤクルト戦(神宮)で2試合連続KOされたエースだったが、不安定な立ち上がりを乗り切ると、自慢の制球力で10三振を奪った。31回目の誕生日を自らの好投で祝うと、チームも今季2度目の5連勝で、貯金も今季最多3と膨らんだ。

 12年沢村賞に輝いた摂津と、10年の前田健。明暗を分けたのは、初回を乗り切れるかどうか。1試合トータルで見れば、9分の1に過ぎない。だが、自らの失策と四球で崩れた広島エースが6失点KOされたのに対し、ここ2試合連続でKOされた摂津は2死から岩本、広瀬に四球を与えながらニックを外角低め139キロ直球で見逃し三振。結果は8回4安打1失点で5勝目を手中にした。

 「相手がどうこうは関係なかった。ストライク先行でいけたのは良かった。(誕生日は)うれしい年でもないですね」。31回目の誕生日。プロ入り後、初めてのバースデー勝利を挙げた摂津は試合後、冷静に振り返った。

 摂津にとってみれば、苦しいマウンドだった。5月18日の阪神戦(甲子園)は3回6失点、続く25日のヤクルト戦も4回4失点。高山投手コーチは「気付いた(修正)点は摂津にも話をしたが、それは本人も分かっていた。原因は技術的なものではなかった。(今春の)WBCと、この4年間の疲労がある」と明かした。09、10年と2年連続70試合以上登板し、先発転向した11年以降は2年連続2桁勝利を挙げた。フル回転で蓄積されたものが体全体を襲っている。

 ただ、それでも勝てる修正能力がある。JR東日本東北時代から続けるのは肉体の追い込みだ。投球練習は疲労をためた状態で行う。当然、ボールはバラつくが、その状態で投球することで実戦で修正できるポイントの引き出しが増える。4回の先頭・広瀬から5者連続を含む今季2度目の2桁10三振も奪った。「低めへ集まってくれました」と右腕も納得の表情だった。

 「疲れているのは確か。体調を考え、間隔を開けることも考えている。次回もまだ、分からない」と高山コーチ。今後も中6日で先発させるかどうかは白紙だが、それほど追い込まれた肉体でも、チームを5連勝に導いた。腰痛の大隣、右肩疲労の武田、左肋間筋肉離れの寺原――。先発陣の台所事情は苦しいが、31歳になった右腕が屋台骨となることは間違いない。

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2013年6月2日のニュース