盗塁読みきったロッテの勝ち 伊東監督してやったり

[ 2013年6月2日 06:00 ]

<ロ・巨>巨人に競り勝ったロッテファンは大喜び

交流戦 ロッテ3-2巨人

(6月1日 QVC)
 送りバントはしてこない。必ず走ってくる。ロッテの川本は確信していた。1点リードの9回無死一塁。走者は186盗塁を誇る代走の鈴木だった。

 「早いカウントで走ると思っていた」。3度のけん制で走るタイミングを遅らせた。1ボール1ストライク。3球目にスタートを切られたが、二塁へストライク送球で刺した。「送球は自分でもしびれた」とうなった。

 原監督の「勝負手」。伊東監督も、してやったりの「どや顔」だった。2連覇した09年WBCでは監督と総合コーチという関係。手の内は知り尽くしており「原さんの性格なら走れる代走が来ると分かっていた。川本の送球は本当に大きかったね」と振り返った。

 川本は開幕直前のトレードでヤクルトから移籍。古巣では出場機会に恵まれなかったが、ベンチの中で相手の分析を怠らず、巨人についても熟知していた。「試合に出なくてもできることはあった。これまでの準備を反映させられた」。盗塁阻止だけではない。蓄積してきたデータを今季初コンビだった成瀬のリードにも生かした。「巨人は左投手に弱いし、外角低めなら大ケガはしない。成瀬はそこに集められるコントロールがあるので」。イニング間には打者の弱点を伝えていた。

 そして5人の継投で逃げ切った。両リーグトップの14度目の1点差勝ち。投手5人以上をつぎ込んだ試合は13戦無敗と無類の強さを誇る。「うちが勝つのはやっぱりこういう試合。力をつけるにはこういう試合を獲っていくのが大事だね」と伊東監督。パ・リーグ首位に続き、6連勝で交流戦首位にも躍り出た。

 交流戦開幕前、指揮官は選手に「交流戦で名前を売れ!」と指令を出した。そして巨人とのセ・パ首位対決第2ラウンドで連勝し、3勝1敗と勝ち越した。川本は言う。「全国的にロッテが首位にいることはあまり知られていないと思う。でも巨人に連勝してアピールできたかな」。地味でも強い。その粘り強さは、全国にも知られているはずだ。

 ▼巨人・原監督(鈴木の二盗失敗に)あそこはジャイアンツの、うちの戦い方ですね。

 ▼巨人・鈴木 ああいう場面で行くのが僕の仕事。スタートはまあまあでしたけど、相手のバッテリーが上でした。

続きを表示

2013年6月2日のニュース