トレーニングコーチが分析 大谷にダル級の可能性

[ 2013年6月2日 09:00 ]

スポニチ本紙評論家・槙原寛己氏(右)に肩甲骨の可動域の広さを見せる大谷

交流戦 日本ハム7-3中日

(6月1日 札幌D)
 大谷の二刀流育成メニューは、1月の新人合同自主トレから日本ハム・中垣征一郎トレーニングコーチ(43)が中心となって作成されている。打者に続き、投手としても1軍で結果を出した18歳の怪物ルーキー。12年にレンジャーズのダルビッシュ有投手(26)の専属トレーナーを務めた中垣コーチが、大谷の優れた能力を分析した。

 投手・大谷の最大の魅力は常時150キロを超える剛速球。握力70キロのパワー、遠投120メートル超の地肩の強さがそれを支える。その上で、中垣コーチは安定して球速が出る秘けつをこう分析した。

 「動きをまとめる能力がある。投球動作の中で、最終的にリリースの瞬間に力を集める能力が高い。まだ一貫性を持たせるまでいっていないけど、力を発揮するところはある程度できている」

 速い球だけではプロは通用しない。球威、変化球を含めた制球の精度を安定して持続させる必要がある。ダルビッシュの日本ハム入団時から育成に携わった同コーチは、大谷にも大いなる可能性を見いだしている。

 「大谷は運動技術を身につける能力が高い。例えば走るのが大谷やダルビッシュより速い選手はいっぱいいる。ただ、ダルビッシュは投球動作の中で表現できることがたくさんある。投球動作をコントロールした上でボールをコントロールできる。強い球、変化球を思ったコースに投げられるコントロールです。その能力が高いから一番の投手になれる。大谷も投げる、打つの両方で(一級品のプレーを)表現する能力を発揮できるのは、運動技術を身につける能力が高いからでしょう」

 理想的なフォームなどを習得するすべを知っているのが強みという。さらに両手を腰に当てながら両肘が体の正面に垂直に出てくる肩甲骨の可動域の広さも、しなやかなフォームを支える。

 「非常に高い柔軟性も(球速の)要素に入っている。数値で表すのは難しいけど下半身の筋力はそれなりにあります。潜在的なもの、これから身につける可能性を含めて野球選手としての能力は非常に高い。ただ、技術的にやらなきゃいけないことはいっぱいある」。その能力を磨く育成メニューも序章にすぎない。

 ◆中垣 征一郎(なかがき・せいいちろう)1970年(昭45)1月18日、東京都生まれの43歳。筑波大卒業後、伊勢丹ラグビー部のトレーニングコーチなどを経て、98~00年のユタ大大学院在学時はメッツ傘下のマイナーチームで夏季トレーナーを務めた。04~10年に日本ハムのチーフトレーナー。12年はレンジャーズでトレーナー。今季から日本ハムにトレーニングコーチで復帰。

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