松井氏引退式典 イチローと最初で最後のピンストライプ競演へ

[ 2013年6月1日 06:00 ]

ヤンキースタジアムで引退記念式典が行われることになった松井氏

 ヤンキースは30日(日本時間31日)、同球団OBで09年ワールドシリーズMVPの松井秀喜氏(38)の引退記念式典を、7月28日(同29日)にヤンキースタジアムで行うと発表した。レイズ戦が開催される「7・28」は、今季のヤ軍のホームゲーム55試合目。代名詞の背番号55にちなんだ「ゴジラの日」に1日限定のマイナー契約を結び、ヤ軍の一員として最後の花道を飾る。

 松井氏のセレモニーについて、ヤ軍のジョー・ジラルディ監督は「素晴らしいこと。彼にふさわしい。みんながその日を楽しみにしている」と歓迎した。09年ワールドシリーズで27度目の世界一をもたらした立役者に最高の花道が用意された。

 (1)日程 7月28日は今季55試合目の本拠地試合。背番号55にちなんだ日取りは米国でも異例だ。巨人での引退セレモニーと国民栄誉賞授与式が行われた5月5日同様、いかにヤ軍で松井氏が愛されていたかが分かる。

 (2)1日契約 活躍した球団で現役生活を終えられなかった場合、限られた選手に認められる特権が「ワンデー・コントラクト(1日限定契約)」だ。最近では10年3月にノマー・ガルシアパーラが、新人王と首位打者2回を獲得した当時にプレーしていたレッドソックスと1日契約を結んだ。

 (3)人形 当日は先着入場者1万8000人に、ワールドシリーズMVPのトロフィーを持った首振り人形が配られる。松井氏の最後の置き土産が09年の世界一。その象徴が、再びファンへのプレゼントとなる。

 イチロー、そして同学年の黒田が見守るセレモニー。イチローとは03、04年の米球宴で同じア・リーグのユニホームを着てプレーしたが、伝統球団で最初で最後の「チームメート」となる。そのセレモニーで松井氏は両親とともにスイートルームで試合を観戦予定だが、球団は、松井氏の意向を踏まえた上で、始球式と引退スピーチを式次第に入れる方針でいる。

 まずは始球式。背番号55は現在、内野手のオーバーベイがつけているが、松井氏は試合に出場しない限り「55」をつけることに問題はない。4年ぶりのピンストライプ姿で親友ジーターが捕手役を務めることが有力だ。

 スピーチも注目だ。世界一を遂げた際、松井氏は「僕はニューヨークが好きだし、ヤンキース、チームメートも好きだし、このファンが大好き」と言った。この時は全編、日本語だったが、英語をあらためて勉強中という松井氏だけに、再出発の「第一声」を、ニューヨーカーの胸に直接響く言葉で語りかけることになりそうだ。

 ▽松井氏の5・5引退セレモニー 同日の広島戦の前に開催。約4分間スピーチし「東京ドームのグラウンドに立たせていただいていることに今、感激で胸がいっぱいです」と目を潤ませた。そして巨人ファンへ「また、いつか皆さまにお会いできることを夢見て新たに出発したい」と指導者としての復帰へ意欲を語った。恩師の長嶋茂雄氏とダブル受賞した国民栄誉賞授与式も行われ、始球式では松井氏が投手役、長嶋氏が打者役を務めた。

 ≪主な1日契約での引退≫

 ☆J・T・スノー(ジャイアンツ=08年9月27日)ゴールドグラブ賞6回の名手。ドジャース戦に「5番・一塁」で先発し、初回に守備位置に就いた直後に交代。

 ☆トロイ・パーシバル(エンゼルス=07年4月2日)02年の世界一に貢献した最速164キロの守護神は、レンジャーズとの開幕戦で始球式。しかし、同年6月に現役復帰し09年までプレー。

 ☆ノマー・ガルシアパーラ(レッドソックス=10年3月10日)99、00年に首位打者を獲得するなど強打の遊撃手として活躍し「レ軍のユニホームを着て引退したかった」。レイズとのオープン戦で始球式を務めた。

 ☆マイク・キャメロン(マリナーズ=12年4月13日)走攻守そろった外野手。アスレチックスとの本拠地開幕戦で始球式を務め、捕手役はマ軍時代に右中間でコンビを組んだイチローが務めた。

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