【野球のツボ】セ・パ互角…今年の交流戦は面白い

[ 2013年5月23日 12:15 ]

阪神のベンチ前でのパフォーマンス。セ・パの力が拮抗(きっこう)している今年の交流戦から目が離せない

 9年目を迎えたプロ野球の交流戦に、ちょっとした異変が起こっている。前半戦はセとパがほぼ互角の戦いを展開。昨年までセは3年連続で交流戦負け越し。8年間トータルでもセは09年に1度勝ち越しただけ。完全にパ高セ低の構図になっていたのだが、今年は流れが変わりつつある。

 大きな理由は、パの投手力の低下だと思う。パが圧倒していた時代は、それぞれに実力十分のエースがいた。ダルビッシュがいて、岩隈がいて、ソフトバンクには和田、杉内らがいた。彼らが「セ・リーグ球団には負けない」と意欲ムキ出しで戦うのだから、結果は明らか。交流戦でパの球団はいずれも貯金を大きく増やすというのが、当然のことになっていた。

 そうした時代に比べると、今はエースクラスでセとパに力の差はなくなってきている。実力接近で、これからも面白い試合が楽しめると期待ができる。ペナントレースの延長線上にある戦いとして考えると、勝ち星がどちらかのリーグに偏るのは、あまりいいことではない。互角という流れが中盤、終盤に向け変わるのか変わらないのかにも興味がある。

 セとパの比較以外に、交流戦の戦いで重要なのは、試合数だ。ホーム2連戦、ビジター2連戦が交流戦の基本パターン。日程的にも間隔が空く。3連戦で3連勝するのは、なかなか難しいが、2連戦での2連勝なら可能性はグッと増す。逆に言えば、2連敗のリスクも高いということだ。それだけに初戦の持つ意味は高くなる。初戦の勝ち負けで2勝0敗となるか、0勝2敗となるかの分岐点に立たされる。「1勝1敗でいい」などと思っていたら、2つともやられる。どのチームもそのあたりを意識して、初戦に臨んでいるはずだ。

 昨年は交流戦優勝が巨人、2位が日本ハム。日本シリーズも1位と2位の対決となった。貯金を増やしやすい交流戦での成績は、ペナントレースの大きなポイント。今年はどのチームが最後に笑うのか、目が離せない。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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2013年5月23日のニュース