ダル 昨年7月以来の本拠地黒星“強制交代”に「駄々こねた」

[ 2013年5月23日 06:00 ]

<レンジャーズ・アスレチックス>6回、ピンチを迎えマウンドでマダックス投手コーチ(中央)と話すダルビッシュ(右)

ア・リーグ レンジャーズ0―1アスレチックス

(5月21日 アーリントン)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が21日(日本時間22日)、アスレチックス戦で6回5安打1失点にまとめながら今季2敗目(7勝)を喫した。16日のタイガース戦でメジャー移籍後最多の130球を投げ、米メディアから球数の多さを指摘される中、101球での降板指令を渋々受け入れた。これまでダルビッシュ登板時には7・22得点を援護してきた打線も沈黙。昨年7月27日のホワイトソックス戦以来となる、本拠地での黒星を喫した。

 6回1死一、二塁。ピンチを遊ゴロ併殺打で脱したダルビッシュを待っていたのは、ロン・ワシントン監督の降板指令だった。まだ101球。本人いわく「エンジンがかかる」球数に届いたばかり。続投を強く願い出たが、かなうことはなかった。

 「一番、今までで駄々をこねた。“絶対交代しない。まだ投げる”と言ったんですけど、皆さん(メディア)があまりに球数にうるさいので、ワシントン(監督)がたぶん傷ついて、続投させてもらえなかった」。不完全燃焼。試合後の会見では冗談を交えつつも、悔しさをにじませた。

 余力がなかったわけではない。この日最速の95マイル(約153キロ)は6回に計時。3回、セスペデスに中越えソロを浴びた以外、力負けはなかった。それでも「全員で野球をやる」と警戒していたア軍打線に、徹底的にボールゾーンへ沈むスライダーを見極められた。ストライク率も今季最低の55・4%と制球に苦しみ「向こうも粘ってきた。球数もちょっと多かった」。心理的にも消耗し、2年目で初めて1失点での敗戦を喫した。

 130球を投げた前回登板後に湧き上がった球数論争。ダルビッシュの考えを誰よりも理解するワシントン監督だが、ジョン・ダニエルズGMから続投理由を問われた前回の経緯もある。次戦は移動日を挟むため中4日ではなく、中5日で27日(日本時間28日)のダイヤモンドバックス戦。それでも101球で降板させたのは、球数論争の影響ともいえる。

 体調面については「いつも通りの体の状態でした」と前回登板の疲労を否定した。周囲を納得させ、より長い回を投げるには、結果で示すしかない。粘る打線に対し、少ない球数でいかに対処するか。突きつけられた課題は、ダルビッシュをさらに成長させるはずだ。

 ▽ダルビッシュの球数論争メモ 16日のタイガース戦で米移籍後最多の130球を投げたことで、米メディアはその多さを指摘。一部メディアで、試合後にダニエルズGMがワシントン監督に8回の続投理由を問いただしたと報じられるなど、問題視された。その後、ワシントン監督は「(チームに)休養日があれば、登板間を広げる」と、酷使はしない方針を明言した。ちなみにダルビッシュの総投球数1086球(10試合)はリーグトップで、リーグ30位のヤンキース・黒田(9試合、892球)、同24位のマリナーズ・岩隈(10試合、915球)を大きく上回っている。

 ≪1失点●は日本で3回≫ダルビッシュが日本ハム時代に、1失点で敗戦投手となったのは3度ある。08年6月11日の巨人戦(札幌ドーム)が初めてで、この日は9回を投げ切り5安打1失点に抑えたが、援護点がなかった。2度目は、10年9月25日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で9回5安打1失点。3度目は、11年9月6日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で、8回5安打1失点だった。

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