黒田 岩隈スプリットで8回2安打零封6勝目

[ 2013年5月19日 06:00 ]

<ヤンキース・ブルージェイズ>8回を無失点、被安打2と完璧な投球で6勝目を挙げた黒田

ア・リーグ ヤンキース5―0ブルージェイズ

(5月17日 ニューヨーク)
 ヤンキースの黒田博樹投手(38)が17日(日本時間18日)、ブルージェイズ戦で日米通算400試合目の先発を果たし、8回を2安打無失点で6勝目。マリナーズの岩隈久志投手(32)からヒントを得て改良したスプリットを駆使し、ここ3試合で33得点を挙げていた強力打線を封じ込めた。6勝はトップに1差と迫り、防御率1・99はリーグ4位に浮上。名門球団の大黒柱となった背番号18が首位快走の原動力となっている。

 黒田が勝てる理由―。それは初回のピンチで投じた1球にあった。1死二塁で、昨季42本塁打の3番エンカーナシオンを迎えた。カーブとツーシームで追い込むと、3球目はスプリットで勝負した。球速は85マイル(約137キロ)。強打者のバットは空を切った。

 試合後、黒田は明かした。「スプリットをいつもと感じを変えた。ブルペンでも投げて、使えるかなという状態だった」。ブ軍とは開幕2カ月で早くも3度目の対決。球団数が多いメジャーでは、同地区とはいえ、珍しいことだ。当然、配球は研究される。そこで、普段のスプリットは87マイル(約140キロ)前後だが「スピードを少し落とした」と意図的に2マイル(約3キロ)減速させた。この日は20球投じ、微妙な変化が打者のタイミングを狂わせ、2回以降は7回1死まで無安打に抑えた。

 スプリットは、昨季までほぼ左打者用の球種だった。しかし今季は「横の動きだけでは抑えきれない。縦も使わないと」と、右打者にも要所で使うようにした。改良スプリットのヒントは同じ日本人投手から得た。前日、外野で球拾いをしていた黒田の元に15日にヤ軍打線を抑えた岩隈があいさつに訪れ、スプリットの話題になった。今季、メジャーの強打者を驚かせている岩隈最大の武器だ。握りや腕の振りなど、身ぶり手ぶりを交えて話し込み「いいヒントをもらった」という。それをすぐに実戦できるのが、黒田の凄さである。

 防御率1・99は、その岩隈の1・84に次ぐリーグ4位に浮上。チームは左腕ペティットが故障離脱し、エースのサバシアも防御率3・19と本調子でない中、黒田の存在感は抜きんでている。日米400試合先発を果たした38歳は言う。「いろいろ考えて投げた。それができるのが僕の強みかな」。さらなる高みへ、歩みは止まることはない。

 ▼ヤ軍・ジラルディ監督 黒田は長いイニングを投げてくれるし救援陣に休みをくれる。毎試合ベストな状態で投げられるように管理するのがわれわれの役目だ。

 ≪“精密”な誤差≫黒田の精密機械ぶりを示す数字が、今季のブ軍戦3試合の球種別の平均球速だ。直球(ツーシーム)、カーブ、スライダーの3種類は3試合の球速がほぼ同じで、誤差はあっても1~2キロ。しかし、黒田が「スピードをちょっと落とした」と明かしたスプリットに関しては、過去2試合はいずれも138キロだったが、この試合は135キロと3キロ遅くなっていた。

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2013年5月19日のニュース