藤井 3986日ぶり完投勝利 「マエケン体操」で気合

[ 2013年4月28日 06:00 ]

<D・神>DeNA・藤井がベンチ前でマエケン体操

セ・リーグ DeNA9―1阪神

(4月27日 横浜)
 痛快、虎退治――。DeNAの藤井秀悟投手(35)が27日、阪神戦で完投勝利を挙げ、自身が持つ連続完投なしのプロ野球記録は107試合でストップした。9回を6安打1失点で、ヤクルトに在籍した2002年以来、実に3986日ぶりの完投勝利。チームは直近4試合で40失点と投壊状態の中で、今季開幕投手を務めた14年目のベテランが134球の熱投でハマスタを沸かせた。
【試合結果】

 9回のマウンドへ向かう直前だった。一塁ベンチ前で藤井が前傾姿勢で両肩を回す動作を繰り返す。あの「マエケン体操」。気合を入れ直した最終回は3者凡退に退けた。

 「みんなに助けてもらいながら、何とか、ふがいない記録を止めることができた。とにかく低めに、淡々と大胆に投げられた」

 今季ワーストの4だったチームの連敗に加え、自身が持つ連続完投なしのプロ野球記録も107試合で止めた左腕は、晴れやかな表情でそう振り返った。

 今季初勝利を挙げた13日(甲子園)以来の阪神戦。4回1死満塁のピンチは新井をチェンジアップで空振り三振。続く新井良を右飛に仕留めて切り抜けた。直球は最速139キロ。100球を超えた8回以降は130キロ台前半まで球速が落ちたが、「この点差で救援陣に頼るのは申し訳ない」と、肩で息をしながらも友利投手コーチに続投を志願。投げた後に左足を振り上げる全身を使った投球で乗り切った。

 プロ14年目を迎えても飽くなき探求を続ける。その象徴が「マエケン体操」でもあった。「マエケンにどういうやり方をするか教えてもらった。まねするのも向上心です」。今年1月に、10歳年下ながら以前から「波長が合う」と話していた広島・前田健とハワイで合同自主トレを行った。「僕は最初に2軍だと上がるのに2カ月かかる。開幕1軍に全てをかけていた」。前田健とはWBC使用球でキャッチボール。あえて慣れないボールで肩と肘に負荷をかけることで、早めに仕上げるための計算だった。同時に、自身の投球動作を前田健に理論で解析してもらいフォームの修正に役立てた。「一流の投手がやっていることは何でも盗みたい」と言う。

 完投目前の9回2死で藤井コールが起きたが、酔いしれることはない。「自分は一試合一試合、一球一球が勝負。まだ成長したい」。向上心の塊である35歳はプロで生き抜くすべを知っている。

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