西武・牧田 三振0完封 緩急、フォームで幻惑 

[ 2013年4月24日 06:00 ]

<西・ロ>打逸三振ゼロで完封勝利を挙げた西武・牧田

パ・リーグ 西武8-0ロッテ

(4月23日 西武D)
 速球は高く浮き、変化球も制球がおぼつかない。それでも西武・牧田は今季初完封を飾った。三振ゼロ。珍記録も牧田は表情ひとつ変えなかった。

 「三振0の完封は(野球人生で)記憶にない。でも僕の理想は球数少なく打たせて取ること。(ロッテが)早打ちだったので、打たせてとることだけ考えた」

 7、8回以外は毎回走者を背負った。その中で頼ったのは低めへの意識とマウンドと本塁間18・44メートルの奥行きだった。3番・井口の打席。3回1死一、二塁では、速いテンポで速球を投げ右飛に仕留めた。そして5回1死一、三塁では今度はゆったりと足を上げながら、外角スライダーで遊ゴロ併殺。「調子が悪すぎて、あまり足の上げ方を変える工夫はできなかった」と話すが、相手打者のポイントで打撃をさせなかった。

 球種と投球動作の緩急に加え、牧田には洞察力も加わる。足を上げてから沈み込むまでの間に「打者の動きが見えることはあります」と話す。打者の細かい反応を察知して、次の1球につなげていく。相手のバランスを崩せれば、安打は出ても長打は少ない。31回2/3で30安打されているが、4度の先発はすべて1失点以下。リーグトップの防御率0・85は牧田ならではの数字だ。

 「WBCで救援をやっていた影響で、初回から飛ばせない」とスタミナ面の不安を抱える。9回1死二、三塁のピンチでは本当は三振が欲しかったという。「速球と同じ球速で落ちる球が欲しい」。結果は浅い左飛と一ゴロで125球を投げきったが、まだ本来の姿ではない。今はフォーシームも球速を微妙に変え、タイミングを外すことだけを考える。

 渡辺監督は「昨年は下手投げの本格派。今年は緩急に磨きがかかり、引き出しを使いこなせている」と評した。だが牧田は現状に満足はしない。キャッチボールでも新球ツーシームを試すなど向上心は尽きない。理想はさらに上にある。

 ▼西武・杉本投手コーチ 昨年も被安打が多かっただろ(178投球回で175安打)。守護神の経験もある。ピンチでも動じないのが彼の良さだ。

 ▼東尾修氏(スポニチ本紙評論家)私自身も、現役時代の投球では三振を取ろうと思っていなかった。とにかく芯を外すこと。牧田はそれが持ち味だし、無三振での完封は素晴らしい。WBCではアッパー気味のスイングの外国人選手は、浮き上がってくる牧田の直球とは「接点」が少なく、空振りになっていた。日本人の打者はコツコツと当ててくる。それが三振ゼロにつながったのではないか。

 ≪クラウン時代の石井≫牧田(西)が奪三振0で今季初完封。奪三振0の完封勝利は、岩崎(ソ)が11年7月28日楽天戦で記録して以来。西武では東尾が82年4月6日ロッテ戦でマークして以来31年ぶり。ただし、前回は降雨コールドのため5回まで。9回試合ではクラウン時代に石井が78年6月11日南海戦で記録して以来35年ぶりだ。

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2013年4月24日のニュース