日本ハムGM絶賛!桐光・松井 “夏の前哨戦”横浜を13K完封 

[ 2013年4月22日 06:00 ]

<横浜・桐光学園>桐光学園・松井は横浜相手に13三振を奪う

春季高校野球神奈川大会4回戦 桐光学園3―0横浜

(4月21日 保土ケ谷)
 昨夏の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を樹立した桐光学園の松井裕樹投手(3年)が21日、春季高校野球神奈川大会の4回戦・横浜戦で快投を演じた。2回まで6連続三振を奪い前日の湘南学院戦から「12連続奪三振」。終わってみれば甲子園で春夏通算5度の優勝を誇る強豪校から13三振を奪い完封した。夏の神奈川大会で最大のライバルになるであろう難敵を退け、28日の準々決勝では昨秋の神奈川大会準優勝校の横浜隼人と対戦する。

 甲子園を沸かせたあの奪三振ショーをほうふつさせた。2回に144キロの直球で6番・小野を見逃し三振に仕留めると、松井は大声で吠えながらベンチに走った。初回から6連続奪三振。前日の湘南学院戦を含めると、実に12連続奪三振だ。

 「序盤から直球が走っていて最後は楽しみながら投げた。8割で投げてもバッターを押し込める。三振を意識して、その通りになって良かった」

 午前10時開始予定の試合は、雨のため4時間遅れて始まった。気温も7度と悪条件が重なったが、5安打13奪三振で強豪・横浜をあっさり完封。13三振のうち10三振を直球で奪うなど、力で圧倒した。直球勝負を指示したという野呂雅之監督も「試合を通じて切れが良かった。毎日見ている者としても良いと感じた」とうなずいた。

 前日は1球も投げなかった伝家の宝刀・スライダーもついに解禁した。2回。07年の高校生ドラフト1巡目で阪神に入団した高浜(現ロッテ)の弟で、1年夏から4番を務める祐仁(ゆうと)に投じた3球目だ。内角に鋭く食い込んだスライダーが、空振り後、なんと右足を直撃した。高校通算15本塁打の右の長距離砲を手玉に取り「いい打者なので抑えられて良かった」と自信を深めた。

 ダルビッシュ、中田、大谷ら近年、大物ルーキーを次々と獲得してきた日本ハム・山田正雄GMは、松井の長所に「変化球の独特な曲がり」を挙げる。「直球もいいけれど、変化球が素晴らしい。決め球のスライダーが、いいところから曲がる」。松井のスライダーは打者の手元でボールゾーンに曲がる。だから、打者は打ちにいってもボールが当たらないという。「(曲がり方は)杉内、石川、うちの武田勝らと似ている。練習すればできるようになるものでなく(生まれつき)持っているものかもしれない」とその潜在能力を高く評価した。

 昨夏に続き桐光学園に敗れた横浜の名将、渡辺元智監督は「直球にタイミングが合わなかった。切れが出ている」と怪物左腕の成長ぶりに舌を巻いた。「笑えそして勝て」。松井の帽子のつばには、この文字が大きく書き込まれている。昨夏の甲子園以降、公式戦での奪三振率は驚異の15・40。「目標は全国制覇。レベルアップしていきたい」。センバツ出場は逃したが、今夏は再び聖地に戻る。その強い意志を感じさせる圧巻の投球だった。

 ◆松井 裕樹(まつい・ゆうき)1995年(平7)10月30日、神奈川県生まれの17歳。小2から元石川サンダーボルトで野球を始め、山内中では青葉緑東シニアに所属し3年時に全国大会優勝。桐光学園では1年春からベンチ入りし、同年秋からエース。2年夏の甲子園では1試合22奪三振、10連続奪三振の大会記録を樹立。遠投105メートル、50メートル走は7秒0。握力は右51キロ、左53キロ。1メートル74、78キロ。左投げ左打ち。

 ▼巨人・長谷川国利スカウト 球に力があるし、切れもある。これだけグラウンドの悪い中でやってるんだからたいしたものですよ。(ドラフト候補の中でも)上位です。

 ▼阪神・北村照文スカウト 直球に馬力がある。直球があるから変化球が生きる。素晴らしい。(能力は)トップクラスです。

 ▼昨夏の神奈川大会での桐光学園VS横浜 7月25日の準々決勝で対戦。1―1の8回に桐光学園が3点を勝ち越し。9回に横浜が2点を返し1点差に詰め寄ったが4―3で桐光学園が逃げ切った。松井は先発し3安打11奪三振5四死球で完投し「最終回は凄くヒヤヒヤした。長く感じた。疲れました」。同校が夏の大会で横浜を破るのは84年以来28年ぶりの快挙だった。

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