菅野新人離れ3連勝 セ・トップクラスの安定感

[ 2013年4月21日 06:00 ]

<広・巨>6回無失点と好投し3勝目を挙げた菅野

プロ野球 セ・リーグ 巨人2-0広島

(4月20日 マツダ)
 やはり、ただ者ではない。巨人のドラフト1位・菅野智之投手(23)は20日、広島戦で6回を1安打無失点に抑え、ハーラートップタイの3勝目を挙げた。雨天の試合でも適応力の高さを発揮。マウンドで歩幅を狭くしたり、飛球を打たせる投球術で凡打の山を築いた。新人の開幕3連勝は、巨人では07年の金刃憲人投手(29=現楽天)以来6年ぶり13人目。セ・リーグトップクラスの安定感は際立っている。

 これが、ルーキーの姿なのか。練習中から降り始めた雨で、午後2時開始の試合が15分遅れた。気温8度。菅野はジャンパーにネックウオーマーで防寒し、ベンチに座っていた。過去3度の登板は全て東京ドーム。プロ入り後、初めての悪条件となったが、緊張感を漂わせるどころか、ナインと終始談笑していた。

 「やることはゼロに抑えること。普段と変わらない。コンディションが悪い中で試合をつくれた」。新人離れした姿は試合中もそうだ。強まる一方の雨で芝は大量の水を含み、土はぬかるんだ。バウンドが不規則になるため「ゴロは絶対に打たせないようにしていた」。ハイボールヒッターぞろいの広島打線。「それを利用した」と逆手に取った。象徴的だったのが3番・丸との対戦。3打席全12球中、9球が真ん中より上のゾーン。相手の得意エリアでも、内外角に投げ分ければ芯で捉えられない。6回1安打で無失点に抑えた。18個のアウトで飛球が11、三振は5。送りバントを除いたゴロはわずか3つで、そのうち2つが坂本の失策だった。説得力があった。

 東海大時代から雨天試合には慣れている。「何度も投げている。雨での登板は嫌いではない」。球が滑る分、より指先に力を入れる。これでカットボールやスライダーのように縫い目に指をかける変化球の曲がりが増すという。

 それだけではない。初回を3者凡退で終えると「踏み出す足が滑っていた」と通常6歩半の踏み出し位置を、6歩に縮めた。小股にすることでフォームを安定させた。イニング間のキャッチボールも早めに始め、雨で冷えた肩を温めた。川口投手総合コーチは「下(足場)を一回も見なかった。凄い投手。新人離れしている」と絶賛。菅野も「弱みというか、そういう姿は相手だけでなく味方にも見せないようにしている」と胸を張った。

 ハーラートップタイの3勝目。雨にも寒さにも動じず、きっちり対処していく。その姿は風格すら漂う。「セ・リーグでNo・1の投手。尊敬する投手の一人」と投げ合うのを心待ちにしていた広島・前田健が右上腕筋膜炎で登板回避した。菅野は言う。「(前田健と)対戦する機会があれば、もっとたくさん力をつけて挑みたい」。謙虚な言葉。だが既に前田健に匹敵するセ・リーグNo・1の安定感を見せつけている。

 ▼巨人・原監督 コンディション的には投げづらかったが、みじんのかけらも見せず投げてくれた。

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2013年4月21日のニュース