【藤浪独占手記】技術より勝ちにこだわる姿勢、執念を見てほしい

[ 2013年4月15日 10:01 ]

<神・D>応援ボード掲げて大歓声で藤浪を迎える阪神ファン
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プロ初勝利独占手記

 甲子園で初勝利を挙げることができ、素直にうれしいというのが今の正直な気持ちです。まずはこの場をお借りして、今まで支えてくれた両親、お世話になった方々に感謝の思いを伝えたいです。

 ここまでの約3カ月半の間で、苦しい時期というのはありません。ただオープン戦期間中は、まだ技術がない中で「通用するのか」という不安がありました。抑えるすべ、引き出しがないのです。高校生ならば同じ失敗を何度もしますし、ここに投げておけば打てない、というところが絶対にありました。でも、プロの打者は対応してきます。1打席目と2打席目では全然違う。そういった部分の駆け引きが、分かりませんでした。

 そういう意味で、3月24日のオリックス戦(京セラドーム=5回0/3を6失点で敗戦投手)では打たれはしましたが、少しつかめた部分があり、自分の中で大きかったです。感覚なので言葉に表しようがないのですが、駆け引き、加減の仕方ですね。金属バットではないので、7~8割の力でも、それなりの球速があればそんなに簡単に打たれるわけではない、と思えるようになりました。

 悩んでいる間は、多くの人にアドバイスも求めました。藤井さん、榎田さん、鶴さん、藤原さん…。いろいろ教えていただきました。例えば、自分は直球の球速があるので「丁寧にコーナーを狙い過ぎなくていい。多少、甘くいったからどうこう、という心配はせんでいいんちゃうか?」と言ってもらいました。プロではベルト付近にいくと絶対に持っていかれるという印象が自分の中で強かったのですが、甘いところにいっても100%捉えられるかといえば、そうでもない。10回のうち3回打てばいい打者。そういう発想ができるようになりました。

 先発ローテーション入りを中西投手コーチから言い渡されたのは、開幕1軍メンバー発表の少し前くらいです。初登板のヤクルト戦(3月31日、神宮)は「やってやろう」という気持ちが強くなってしまい、余計な力が入りました。甲子園のマウンドは凄く投げやすかったです。応援してくれていることを強く感じることができました。

 今後は技術的な部分より、自分の勝ちにこだわっている姿勢や、勝ちに対する執念といったところを見ていただきたいと思っております。今後も藤浪晋太郎を、どうぞよろしくお願いいたします。 (阪神タイガース投手)

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