マー君 大谷ひねった「そう簡単に打たせたら面白くないんで」

[ 2013年4月10日 06:00 ]

<日・楽>2回2死一、三塁、嶋が先制3ランを放ち楽天・田中(右奥)も笑顔で出迎え

パ・リーグ 楽天9―1日本ハム

(4月9日 東京D)
 貫禄が、迫力が違う。そして何より漂う風格が違う。7回2死。楽天・田中は大谷に、直球だけで勝負した。4球。最後は1ボール2ストライクから、外角への150キロだ。空振り三振。東京ドームのスタンドが揺れた。大きなため息と、それに負けない大歓声が交錯した。

 田中「ファンの方々の期待が、声援で聞こえてきた。そう簡単に打たせたら面白くないんで。打たれたら盛り上がると思ったし、盛り上がらせないためにも三振を狙った。何とか意地を見せることはできたかな」

 誰もが待ち焦がれていた、日本球界のエースと二刀流ルーキーの初対決。圧巻の3打席だった。3回無死。18・44メートルの空間を挟み、初めて向かい合った18歳に田中はいきなり3ボールとした。そこから2ストライクを取り、最後は内角に144キロ直球をズバリ。一瞬腰を引いた大谷は、バットをピクリとも動かせなかった。5回1死一、二塁では「狙い通り」と、ツーシームで遊ゴロ併殺打だ。3打席、12球のうち7球が直球だった。力で押した。格の違いをまざまざと見せつけた。

 田中「(大谷は)初めてなので分からないけど…。そんなに怖さはなかった。でもきょうは(調子が)全然良くなかった。序盤はどうしようかなと思った。大量得点をもらって楽に投げられた」

 7回5安打1失点、球数は109球。直球は最速151キロながら、ファウルで粘られるシーンもあった。「メンタルの部分も含めて全体的に自分なりに工夫できた」。打球の飛びやすい東京ドーム。徹底的に低めを突き、3併殺を奪って耐えた。グラブの内側、ちょうど左の手のひらが当たる部分には「気持ち」の3文字が縫い込まれている。気持ちだけは誰にも負けない。大谷に投げ込んだ入魂の12球。まさに侍エースの真骨頂だった。

 「(大谷は)センスはいいよ。でも比較するなよ」。星野監督は笑った。田中も試合後は満面の笑みだった。チームは再び単独首位に。「名勝負数え歌」の第1章は、田中の圧勝だった。

 ≪124イニング被本塁打0≫田中(楽)が7回1失点で今季2勝目。自身連勝スタートは11年以来だが、この年は○―○と勝ち負けのつかなかった試合を含んでいる。シーズン初登板から2戦2勝は09年に7戦7勝して以来4年ぶり。また、日本ハム戦は11年9月10日から6連勝となった。東京ドームではこれまで5試合で1勝3敗、防御率3・22。5試合全て1本ずつの本塁打を許しておりゼロに抑えたのは初めて。これで昨季6月22日ロッテ戦の7回から続いている連続イニング被本塁打ゼロは124イニングに伸びた。

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2013年4月10日のニュース