育成からはい上がった!脇谷 復活V打 右肘手術で支配下外れ…

[ 2013年3月30日 06:00 ]

<巨・広>逆転V打を放った巨人・脇谷のお立ち台で坂本、長野、矢野が乱入。祝福の水をかけられる

セ・リーグ 巨人4―3広島

(3月29日 東京D)
 熱いものがこみ上げてくる、はずだった。もう一度上がりたいと願い続けてきたお立ち台。感無量の表情の巨人・脇谷のもとに、矢野、長野、坂本が忍び寄る。そして手にしたペットボトルの水を頭から浴びせた。

 びしょ濡れになりながら「ありがたいです!」。感動ムードから一転、笑顔はじけるヒーローインタビューとなった。

 「リハビリは凄く長かったけど、こういう日が来ると信じてやってきた。凄くうれしい」

 1点を追う7回2死二、三塁。代わった今村の2球目、内角直球を右前に運んだ。阿部、村田の連打の後、2者が倒れて迎えた打席で値千金の一打を放った。

 一昨年11月に右肘のじん帯再建手術を受けた。リハビリに費やした昨季。支配下登録を外れ、育成選手として背番号「023」を背負った。「地道にやるよ。地道に。でも…、心が折れそうだよね」。先の見えないリハビリにそんな言葉をふと漏らしたこともあった。

 支えは家族の存在だった。昼間中心の2軍生活。「太陽があるうちに帰る父親。それがつらかった」。夕食時、1軍の試合がテレビ中継されていたが「気遣って見ないようにしてくれていた」。悦子夫人はこの日、赤飯にタイの尾頭付きを用意してくれた。2歳の一人娘・萌々夏(ももか)ちゃんの笑顔も癒やしになった。家族と乗り越えた苦難を「忘れないように」と育成時代のユニホームを自宅に飾っている。

 「今年ダメだったらユニホームを脱ぐ覚悟」で臨んだオープン戦では打率・405と結果を残した。そして手にした開幕スタメン。阿部、坂本、長野のWBC組は3人で1安打だったが、1年間のブランクを経て帰ってきた男がチームを救った。原監督は「勝負強さが出ていた。一つ勝つのは大変なことですね」と目を細めた。

 「1年間、野球ができない悔しさを味わったので今は楽しくて仕方ない」。V9時代以来、40年ぶりの2年連続日本一に向けて、一層の戦力の充実を感じさせる開幕戦となった。

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2013年3月30日のニュース