4年後へ…NPBに代表強化専門部署必要

[ 2013年3月25日 12:00 ]

<巨人・楽天>話をする(左から)侍ジャパン・山本監督、巨人・原監督、楽天・星野監督

 今度は挑戦者として臨む4年後の17年大会。V奪回のためには、侍ジャパンの進むべき方向性を真剣に議論し、明確化しておく必要がある。

 侍ジャパンは一般社団法人となった日本野球機構(NPB)の新たな収入源として、昨年4月から常設化された。事業の立案・実行を行う「侍ジャパンプロジェクト」が立ち上がり、一定の成果を挙げた。しかし「侍ジャパン=金もうけ」だけでは、WBCには勝てない。大リーグのスカウトは「今大会は中南米の選手の目の色が違った」と話す。大会直前に監督を選び、少しだけ合宿をやれば勝てるような甘い状況ではなくなっている。

 今回、監督人選や大リーグの日本人選手招集のやり方に関しては、大きな反省材料を残した。だからこそ、代表を強化するための専門部署の設置が必要となる。サッカー界ではW杯の総括をはじめ、日本サッカー協会内の「技術委員会」が一手に担う。その仕組みは参考になるはずだ。

 頻繁に国際大会が組まれるサッカーとは異なる点もあるが、監督選考や大リーグの日本人選手の現状把握などは、球界OBの専門知識が不可欠。侍ジャパンも毎年のように親善試合や、強化試合を組み、15年3月には国際野球連盟(IBAF)主催の「プレミア12」も開かれる予定。今後は現場を知る球界OBの手も借りながら、長期的な視点で強化を図ることが必要となる。

 そして代表選手の位置づけ。今回、阿部が大会直前に右膝を負傷したが、NPBが選手個々に掛けている保険から支払われる治療費しか補償はなく、大きな事故につながった際の球団、選手への年俸補償はない。例えば代表選手に優遇措置を設け、収益の一部を補償や報酬と連動する形にしなければ、大会への参加は「名誉」でしかなくなる。これだけの注目を集めたWBC。重い責任を背負う首脳陣の待遇面も含めて見直す必要がある。

 現状は常設化とは名ばかりで、侍ジャパンは「解散」状態にある。だが、3連覇を逃した今、すぐにでも「改革」に着手しなければ、ファンから本当に愛想を尽かされてしまう。

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2013年3月25日のニュース