常葉菊川・前川3安打&盗塁!「凄い選手」父に近づいた

[ 2013年3月23日 07:33 ]

<春江工・常葉菊川>1回表2死一塁、常葉菊川・前川(右)は二盗を決める

第85回選抜高校野球 常葉学園菊川9-5春江工

(3月22日 甲子園)
 打って、守って、走った。一塁アルプス席から注がれる熱い視線を感じながら、常葉学園菊川の前川は甲子園を楽しんでいた。

 「3安打はチームに打たせてもらいました。ベンチの雰囲気が良かったので。最初は緊張したけど、ヒットが出て楽しくできました」

 初回に中前打して春江工の強肩捕手・栗原から二盗に成功。波に乗って3安打を放ち、社会人野球の名門・熊谷組で活躍した父・忠由さん(46=会社員)を喜ばせた。俊足、巧打のプレースタイルは父と同じだ。幼いころから野球を教わってきたが、現役時代の父は知らない。「家にあるビデオで見た。凄い選手だったんだなって」。

 90年のスポニチ大会で優勝し、首位打者を獲得した忠由さんは93年、突然の休部で本田技研(現ホンダ)へ移籍。野球を続けられなくなるかもしれない不安を味わったからこそ「思い切りやってほしい。そのとき、そのとき全力で」という。そんな父がまぶしそうに見つめる先で、3安打に1盗塁。ビデオで見た「凄い選手」に少しでも近づけた一瞬だった。

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2013年3月23日のニュース