ドミニカ共和国全勝で初V カノ歓喜のMVP

[ 2013年3月21日 06:00 ]

<ドミニカ・プエルトリコ>MVPのトロフィーを手に喜びを爆発させるカノー(中央)らドミニカナイン

WBC決勝 ドミニカ共和国3-0プエルトリコ

(3月19日 サンフランシスコ)
 第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝が行われ、ドミニカ共和国がプエルトリコを3―0で下し、初優勝を飾った。1、2次ラウンドを通じて8戦全勝の完全優勝は史上初の快挙。大会MVPには通算打率・469、2本塁打、6打点で1、2次ラウンドもMVPに選ばれたロビンソン・カノ内野手(30=ヤンキース)が輝いた。
【試合結果】

 歓喜のシャンパンファイトを終え、ずぶ濡れで会見場に現れたトニー・ペーニャ監督は、携帯電話を手にしていた。相手はダニロ・メディナ大統領。指揮官は「まず大統領と話をさせてください」と断りを入れ、電話はカノ、レイエスへと渡った。

 頂点の座へ、1次ラウンドから8連勝で上り詰めた。過去2大会連覇の侍ジャパンでも成し得なかった偉業。国中がこの瞬間を待ち焦がれていた。09年大会はオランダに2敗を喫し、1次ラウンドで敗退した。「ドミニカに文化は1つしかない。それが野球。誰もがこの優勝を思い願った」。5年越しのリベンジに導いたペーニャ監督は胸を張った。

 試合前日にパーティーを開くなど、風紀を乱した前回大会と違った。昨夏にはヤンキースで4番を打つカノらが代表入りを志願。大会中もマイアミからサンフランシスコに移動した17日、休養日だったが自主的に体を動かした。11年首位打者のレイエス、通算304本塁打のテハダらスターぞろいだが、カノのリーダーシップはこの決勝でもいかんなく発揮された。

 3回から雨脚が強くなり、5回には先発デデュノが緩んだマウンドに足をとられて制球を乱した。四球、暴投で無死二塁。ここでカノはタイムを要求し、グラウンド整備を要請した。マウンドに土が盛られ、デデュノは後続を斬った。この日のカノは無安打だったが、1、2次ラウンドに続きMVPに輝くと、「チーム全体で獲ったもの」と笑みを浮かべた。

 侍ジャパンの3連覇を打ち砕いたプエルトリコを圧倒。世界に野球大国の威信を知らしめたペーニャ監督は「4年後にチャンスがあればもう一回やりますよ」と、早くもWBC連覇に意欲を見せた。

 ▼DeNAブランコ(ドミニカ共和国出身)ベリーハッピー、ハッピーだ。世界一になれたのはうれしい。母国のみんなも喜んでいると思う。

 ▽ドミニカ共和国の野球事情 国内では圧倒的な人気を誇る。国民の多くが幼少から野球に興じ、昨季開幕時のメジャーリーガー95人は、国別人数で米国を除き圧倒的1位。主な選手にはサミー・ソーサ(元カブス)、ペドロ・マルティネス(元レッドソックス)、アルバート・プホルス(エンゼルス)らがいる。大リーグの20球団以上が現地にアカデミーを設置し、10代から選手を育成。毎冬にはウインターリーグが開催される。

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2013年3月21日のニュース