中田“1本足パワー”三塁打 131メートル超中堅最深部へ

[ 2013年3月16日 06:00 ]

<ジャイアンツ・日本>4回1死二塁、中越えに適時三塁打を放ち激走する中田

練習試合 日本6―3ジャイアンツ

(3月14日 スコッツデール)
 心のモヤモヤがアリゾナの澄みきった青空のように一気に吹き飛んだ。4回1死二塁、中田(日本ハム)は1本足打法から114キロの巨漢右腕・ペティットのスライダーに泳がされながらもバットを残して強振。打球はグングンと伸び、中堅最深部のフェンスにワンバウンドで当たる適時三塁打を放った。

 「ちょっと泳がされたけど、しっかり捉えることはできた。打った瞬間、抜けるとは思ったけどあそこまで飛ぶとは思わなかった」

 スコッツデール・スタジアムは中堅まで430フィート(約131・1メートル)。日本の球場なら本塁打という打球だ。3回には左前打、6回にも左前打を放って3安打1打点で、勝利に貢献。しゃく熱の太陽が、中田の表情をより一層明るく照らした。

 2次ラウンドまで18打数6安打、打率・333と結果を残してきたが、安打は全て単打。すり足打法との試行錯誤を続け「長打が打てる気がしない」とまで言った。2次ラウンドの1位決定戦前に立浪打撃コーチに「足を上げたい」と直訴。同コーチには「足を上げてあかんかったら一切上げるのを諦めろ」と最後通告を受けた。その状況で出た待望の長打。「(1本足は)1年間続けてきたので、しっくりくるし、その分バットも振れる」と手応えを口にした。

 山本監督は決勝トーナメントで左右どちらの投手との対戦になっても、下位打線のキーマンとして中田を7番で起用する方針。立浪打撃コーチも「顔とバットの距離の間合いが取れてきた。追い込まれても(体が)前に出なくなった。ずっと結果を出しているのは頼もしい」と、1本足打法にもゴーサインを出した。

 米国でプレーするのは初めて日の丸を背負った広島鯉城シニアに所属していた国泰中3年時以来。4番として4本塁打をマークしてMVPに輝いた縁起のいい土地でもある。「米国はスケールも大きいし、やっていて気持ちいいし、楽しい」。スケールの大きさでは中田も負けていない。決勝トーナメントが行われるAT&Tパークは、中堅まで399フィート(約121・6メートル)。この日と同じ放物線を描けば、侍ジャパンの3連覇がおのずと見えてくる。

 ▽スコッツデール・スタジアム 92年3月6日開場。全面天然芝で、左翼360フィート(約109・7メートル)、中堅430フィート(約131・1メートル)、右翼330フィート(100・6メートル)の広さを誇る。収容人数は1万2000人。大リーグ屈指の人気球団らしく、オープン戦でも毎試合8000人以上が詰めかける。ジャイアンツが開場当初からキャンプで使用しているほか、06年には米国―南アフリカ戦など、WBC1次ラウンドB組の3試合が行われた。

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2013年3月16日のニュース