稼頭央「BURN」満塁一掃“メジャー流”逆転三塁打

[ 2013年2月25日 06:00 ]

<オーストラリア・日本>4回2死満塁、松井は右足を強く踏み込み走者一掃の逆転三塁打

侍ジャパン壮行試合 日本10-3オーストラリア

(2月24日 京セラドーム)
 さすが、元メジャー侍だ。3月2日開幕の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇に挑む侍ジャパンは24日、オーストラリア代表との壮行試合に臨み、10―3で連勝した。山本浩二監督(66)は低迷する打線の大幅な組み替えを断行。「2番・二塁」で初先発した松井稼頭央内野手(37)が、1点を追う4回2死満塁で走者一掃の右翼線三塁打を放ち、逆転に成功した。純国産で唯一メジャー経験のあるベテランは2安打4打点で打線を活気づけ、13安打10得点の猛打を演出した。

 三塁ベース上で、ベテランは白い歯を見せた。高々と右手を上げた。昨季から楽天で取り入れているパフォーマンス「BURN!」を決めると、スタンドから大歓声が湧き起こった。逆転を許した直後の4回2死満塁。松井の、この勝負強さを待っていた。右翼線に弾む打球。快足を飛ばし、試合をひっくり返す走者一掃の三塁打となった。

 「久しぶりにスタメンで出していただいた。自分の持ち味である積極さを前面に出そうと思っていました」。ここまでの強化、壮行の2試合で2番・二塁を鳥谷に譲っていた。日本代表としては03年のアテネ五輪アジア予選以来10年ぶりのスタメン。初回無死一塁で初球にきっちり送りバントを決め、6回2死二塁ではこの日4打点目となる中前適時打。37歳のベテラン侍が縦横無尽に暴れ回り、大勝に導いた。

 日の丸に懸ける思いは誰にも負けない。前回09年大会はスタッフ会議で候補に名前が挙がりながら無念の落選。以来「37歳の時に選んでもらえる選手でありたい」と今大会出場が一つの大きな目標となった。代表合宿の初日には、高代内野守備走塁コーチに自ら願い出た。「そういう構想があるなら、三塁もやりたいので。準備させてください」。必死のアピールで28人の最終メンバーに生き残り、鳥谷との正二塁手争いでも、実戦の中で最高の結果を残した。

 侍ジャパンの中でただ一人メジャー経験がある。加えて唯一の両打ちでもある。元来右打ちの松井が7年間のメジャー生活の財産の一つに挙げたのが、左打席での打撃だった。メッツ時代の04年に同僚から指摘された。「打球の結果を確認してから走り出すくらい、しっかりと右足を踏み込め」。松井は言う。「あの言葉がなければ、ここまで野球を続けられなかったかもしれない」。それまでは内野安打を意識し一塁方向へ右足を逃がす「走り打ち」が多かった。この日の2安打も左打席からしっかり踏み込んだ。渡米前は右打席の打率が2分ほど高かったが、帰国後は左右とも同じ・263。両打ちとして片寄りがなくなり、立浪打撃コーチは「(松井が)2番に入り機能した。あそこで右左、どちらもいけるのは大きい」と両打ちの利点を強調した。

 「あまり調子に乗らず、おとなしくしておくと思います」と謙虚な松井。前日の36歳・相川に続き、ベテラン侍が山本ジャパンを勢い付けた。

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