3番大谷&4番中田の新ON構想 偶然とは思えない符合の数々

[ 2013年2月6日 06:00 ]

フリー打撃で快音を響かせる日本ハムのドラフト1位・大谷

 新たな「ON」になってほしい。日本ハム・栗山英樹監督(51)は名護キャンプ第2クール初日の5日、不動の4番・中田翔内野手(23)と二刀流のドラフト1位ルーキー・大谷翔平投手(18=花巻東)による「ON構想」を明かした。単にチームの中核となるだけでなく、近い将来、球界を背負って立つ存在にまで育てる方針。あの偉大なONのように、新ONが伝説をつくり上げる。

 まるで夢のような壮大な構想だ。でも、必ず実現させたい。栗山監督は不思議な運命も感じつつ思いを口にした。

 「日本中で国民が熱狂したあの時代をもう一度つくれるのは、この2人なのかもしれない。そうなってほしいし、そうさせないといけない」

 この2人とは、中田と大谷に他ならない。侍ジャパンで世界に挑む4番の中田。そして大谷は二刀流で球界に新風を吹き込もうとしている。2人のイニシャルを合わせれば「ON」。単なる偶然かもしれない。ただ、栗山監督は偶然と思えぬ符合が自らに課せられた使命と受け止めた。

 かつてプロ野球の隆盛を築き上げたON、巨人の長嶋(現巨人終身名誉監督)と王(現ソフトバンク球団会長)。偉大な2人と、5歳の年齢差が同じなら「O」が左打者で「N」が右打者なのも同じだ。さらには王が入団した59年、巨人の4番が長嶋だった。すでに4番として君臨する中田と大谷が、伝説を引き継ぐ条件はそろっている。

 糸井がオリックスへ移籍したチームは3番の育成が急務。野手・大谷はその最有力候補だ。栗山監督は「打つ方はすぐにも使える」と評価しており、早い段階で「3番・大谷、4番・中田」が実現する可能性もある。しかし、栗山監督が願うのは単なる3、4番ではない。球界を背負い、誰からも愛され、全国を熱狂させるコンビだ。

 壮大な構想を膨らませるように、名護キャンプで中田はフリー打撃と特打を合わせて計10本の柵越えを放った。一方、大谷は国頭村(くにがみそん)の2軍キャンプのフリー打撃で柵越えは1本。それでも、中田は「大谷君(の打撃)はえぐいらしいね。今のままじゃ負けちゃうよ」と話し、大谷は「(中田は)去年のシリーズを見て凄いホームランを打つなと思った」と言った。かつてONは盟友でありライバルだった。同じようにチーム内で競い合い、お互いを高めていく環境がこの2人にはある。

 13日は1軍の休日を利用して2軍が名護で練習する。WBC組の中田と稲葉も参加する。初の合同練習。平成のON伝説がそこから始まる。

 ≪ONアラカルト≫

 ☆入団前からスター 長嶋は立大で当時の東京六大学本塁打記録を持つ花形選手。王は早実で57年春センバツ優勝投手。

 ☆O→N V9時代(65~73年)を通じクリーンアップを形成。3番・王→4番・長嶋の順が最多の1061試合、逆は502試合。

 ☆アベック弾 59年6月25日の阪神との天覧試合を皮切りに、アベック本塁打106度、2者連発は29度。ともにプロ野球史上最多。

 ☆タイトル 長嶋は首位打者6度、本塁打王2度、打点王5度。王は3冠王2度を含め順に5度、15度、13度。V9時代は同3部門計27タイトルのうち2人で24を独占。

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2013年2月6日のニュース